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─数日後のこと、私は団長室にいた。
これでも私はリヴァイ率いる特別作戦班の副班長、なので、彼ほどではないけれど書類仕事が多い。
今までは一人で黙々と仕事していたけれど、エルヴィンと両想いになった翌日、彼は唐突に私に言った。
「これは…Aがよければだが、今後書類を書く時は団長室で仕事をしてくれないか?」
『え…?急にどうしたの?』
「毎日、時間があるようでないものだから…少しでもAといたいと思ったんだが、どうだろうか…?」
『……わ、私もそうしたい…です。』
「よかった。」
─と、いうわけで。
今日も団長室にお邪魔している。
黙々とペンを動かしながら、たまにたわいもない言葉を交わしながら、たまに珈琲を口に運びながら。
たまに彼の方を見てしまいながら。
「…A?」
『…ッ!?な、なんでも、ない!』
「………。」
慌てて視線を逃しながらペンを手に取るが、エルヴィンは自分のデスクから離れ私の隣に腰かける。
そして、じっと私を眺め始める。
「………。」
『…えっ、な……!
……??』
見られすぎて顔に穴が空きそうです。
「………。」
『…あ、の…エルヴィン、団長?』
「なにかな、A。」
『見られすぎて壁外調査より緊張します。』
「……本音を言うと、だな。」
『はい…?』
「書類より君の方を見ていたい。」
『……ッ!!?』
どうして、いつもの顔でそんな言葉を言えるの?
言われた側の私は既に顔から火が出そうだし、し、心臓の危機だし…嬉しいし、嬉しいけれど…。
『し、仕事…仕事しましょう!仕事ッ!』
「嫌だ。」
『だッ…団長!?
団長が仕事嫌だなんて言わないでください!?』
「私にだって仕事が嫌な時もある。」
『そ、そりゃあるでしょうけど…!』
「というわけだ、A。
団長命令だ、少し休憩しよう。」
『職権乱用みたいになってますよ!?』
「構わない。」
と、そそくさと新しく珈琲を淹れるエルヴィン。
私の目の前にも温かい珈琲が置かれ、エルヴィンは珍しく、本当に珍しく角砂糖を放り込んでいた。
『…甘いの好きになったの?』
「いや、そうしたい気分だった。」
砂糖入りの珈琲を飲む彼はなんとも新鮮。
例えるならば…ストレートで紅茶の味を楽しみたいというリヴァイがミルクティーを飲むような確率。
『もしかして…眠いの?』
「あぁ…少し。」
彼は穏やかに眠た気に私を見ていた。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時