#119 屈託なく笑った ページ19
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「だが…エルヴィン。
Aを、もう泣かせるんじゃねぇぞ。」
「…あぁ、分かっている。」
「幸せにしてやらねぇと、削ぐからな。」
「……あぁ。」
「まったくリヴァイったら!
物騒なんだから……ねぇ?A?」
『え……あぁ、うん。』
─私はエルヴィンを睨みつけるリヴァイを見て、リヴァイに一つ疑問を問いかけた。
私はぽつりと呟く。
『ねぇ…リヴァイ?』
「…あ?」
『もし…もし、だよ?
私がリヴァイからの告白を承諾していたら…リヴァイはどうするつもりだったの?』
「あっ、それ私も気になる!」
私の問いかけに、リヴァイは私を見る。
─本日二度目に、私の頭をまた優しい手つきでなでて、そして優しい声で言った。
「…どうもこうもねぇ。
お前は他人の気持ちを自分以上に大切にする奴だ…だから、断るだろうと思っていた。」
『……そうかな。
結構悩んだんだよ、揺れてたかも。』
「…その時は、遠慮なく貰ってたな。」
「だ、そうだよ!エルヴィン!」
「……それは困るな。」
「あははははッ!
よかったね、リヴァイが優しくって!」
「…クソメガネ。
テメェに言われると気持ち悪い。」
「えぇッ!?酷いなぁ!」
『…ふふっ。』
「……A。
お前は、いつでも笑ってろ。」
『…うん、ありがとう。』
─幸せだ、と、思った。
ただ嬉しいと思った。
リヴァイは私が頷くと、満足したかみたいに、初めて私達の前で屈託なく笑った。
「…リヴァイが歯を見せて笑ったよ!?」
「うるせぇ、クソメガネ、削ぐぞ。」
「いつもそうやって笑えばいいのにな。」
「エルヴィン、テメェも削ぐぞ。」
『似合ってるよ、リヴァイ。』
「………。」
「Aのことは削がないんだね!」
「当たり前だ、テメェらとは違う。」
『あはははっ。』
私が笑うと、リヴァイは私の頭から手を離した。
少し名残り惜しさを感じてしまう。
リヴァイの優しい手が、なんだかんだ好きだった。
「…行くぞ、クソメガネ。
いつまでも笑ってやるのも可哀想だからな。」
「リヴァイにしては気が利くじゃないか!
A、エルヴィン、ごゆっくり!
先に兵舎の中に戻ってるよッ!」
『あ、ハンジ……』
「エルヴィン!
Aのことをよろしく頼むよ〜!」
『……行っちゃった。』
─リヴァイとハンジの背中が遠くなる。
夕暮れ時の空が青く暗く変わる頃、私とエルヴィンの影がにわかに映しだされていた。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時