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─やけに優しい温度の指先に触れて、あの時と同じように伝染したような、不思議な感覚に囚われた。
あの日と同じように、夕暮れが綺麗。
あの日と同じように、体が熱い。
夢かもしれないのに、エルヴィンを見て『あぁ…好きだなぁ』なんて思って、その想いを感じて。
でもやっぱり鮮明だから、もしかしたら夢じゃないんじゃないかって期待してしまう私もいる。
でも、この温度は夢だと思えなくて。
─そんなことを思っていると、エルヴィンの後ろに見慣れた人影が映り、その背中へ手を伸ばしていた。
『……あっ……』
「…ッ!?」
『…え、ちょっ!?』
─ドサッ
私の体は、再び庭の上に寝転がった。
勢いよく倒れ込んで、私の視界は動転。
『……いたっ……。』
思わず瞑ってしまった目をゆっくりと開くと、目の前には至近距離のエルヴィンがいた。
『……ッ……。』
「………。」
思わずエルヴィンと顔を合わせた。
冷静になると、エルヴィンは私に覆いかぶさって、押し倒されたような格好になっていると気づく。
そして、ふと、唇には温かい感触が。
─私は、エルヴィンとキスしていた。
『………え?』
「……あ……」
『……ッ!!?』
「やーっと、結びついたねぇ!!
おめでとうッ!お二人さん!」
『…ハンジッ…!?』
─エルヴィンの後ろから現れたのはハンジ。
先ほどの温かい唇の感触からすぐさま離れたが、私の頬は容赦なく紅潮していく。
見ると…エルヴィンも真っ赤ではないか。
…そんなに赤くならないでほしいな!
見ているこっちまで尚更赤くなるでしょう!?
そして、
「おい、エルヴィン。
いつまでAのことを押し倒してやがる。」
『リヴァイッ…!?』
「……すまない、A。」
『…えっ!?
えっと、えっと、あのッ………』
「あははははッ!
A、焦りすぎだよッ、あはは!」
─不機嫌そうなリヴァイ、大笑いするハンジ。
えっと…状況をまず整理しよう。
私は、一人で兵舎の庭に寝転がっていた。
すると息をきらしたエルヴィンがやってきて、『好きだ』と言われて…私は座り込んでしまって、そうしたら後ろからハンジが……。
『……二人共、見てたの?』
「いやぁ……途中はヒヤヒヤしたけど、エルヴィンが腹を括ってくれて本当によかったよ!」
「見ていて胸焼けがする、クソ甘い。」
「………。」
『……泣きそう。』
どうやら、最初から全部見られていたらしい。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時