#116 好きでいていいんだ ページ16
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一時間ほど前のことである。
私はリヴァイの姿を探していた。
『ねぇ、ペトラ。』
「どうしたんですか?Aさん。」
『あのね、リヴァイを探してるんだけど…』
「兵長なら、『死んだ魚みてぇな目をした奴と出かけてくる』って、街に行かれましたよ?」
『…死んだ魚みたいな目?』
死んだ魚みたいな目って、誰!?
ペトラと『誰だろうね…』、『はい、誰でしょうね…』とか話していると、背後からよく聞き慣れた声が。
「俺に用か、A。」
『あ、リヴァイ、お帰り。
死んだ魚みたいな目の奴って誰?』
「…エルヴィンだ。」
『……死んだ魚みたいな目の奴?』
「…あぁ。」
『……どこが?』
「…全てがだ。」
『………。』
リヴァイ、エルヴィンと何かあったのかな?
ハンジが『死んだ魚みたいな目』とか言いだすのならまだ分かるんだけど…エルヴィン、何があった…。
なんて思いつつ、苦笑いする。
「…それで?」
『あぁ…うん、リヴァイに話が。』
「…そうか。部屋に入れ。」
『…うん。』
─ペトラに見送られて、リヴァイの部屋へ向かった。
部屋に入ると少し気まずかったのだが、リヴァイも何の話かくらい想像がついているんだろうな。
リヴァイに促さてソファーに座り、私は口を開いた。
『あのね…私、リヴァイとは付き合えない。』
「……そうか。」
私の言葉にリヴァイは、小さく微笑んだ。
『…リヴァイ?』
「お前なら、そう言うと思っていた。」
『……ッ、ごめんね。』
「…謝るな。」
─リヴァイは私の髪をなでた。
やっぱり優しい手つき、相変わらず優しい手つきで…つい私の胸が痛くなってしまった。
言葉は、ぽろぽろと零れた。
『……本当に、嬉しかったんだよ。』
「…あぁ。」
『でも、やっぱり…私は……。』
「………。」
『…エルヴィンが好きみたい。
そんな生半可な気持ちで、リヴァイの気持ちに応えることなんて……できないよ…。』
「……そうか。」
『…なんで、そんなに優しいの?』
「Aは…別に悪くねぇからな。」
『………。』
─リヴァイ。
あなたに恋をして、弱くなったかもしれない。
なんでそんなに優しいの、なんでこんなに嬉しいの、なんで、それなのに…私はエルヴィンが好きなんだろう。
そう自問自答する私に、リヴァイは言った。
「…自分を責めるんじゃねぇ。
いいか、お前は何も悪くなんかねぇ。
アイツを、好きでいてやれ。」
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時