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エルヴィンsaid
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─ロイに背中を押されて、bouquetを後にした。
とてもなんとも言えないような気持ちで街を歩いた。
思い違いをしていたこと、Aを好きなこと。
ある誰かに背中を押されたこと。
Aに梅花黄蓮を渡されたこと。
どんな形であれ、Aを泣かせたことも。
いろんなことが頭の中を過ぎって、複雑な気持ちになって、『何をやっていたんだ』なんて自分に問いかけて。
「…ははっ。」
自嘲笑いが漏れだした。
リヴァイとハンジには…私はどんな風に映っていたんだろうか、恐らく『変』だった筈だ。
リヴァイには『死んだ魚のような目』と言われたな…。
どんな目だ…と、今更ながら思った。
兵舎に着くまでの間は、Aに今日伝えるか明日伝えるかと、くだらないことで悩んでいた。
どうやら私は、相当な臆病者らしい。
そうやって悩んだり、明日に延ばすような考えを持つくらいだから、こうやって思い違いをしただろうに。
ハンジの言う通りに早く腹を括っていたら、私が思い違うこともAを泣かせることもなかっただろうか。
─そうこう思いつつも兵舎に着いた。
すると兵舎に着いて早々、前方から慌てた様子のハンジが私を見つけて駆け寄ってくる。
何事かと思う私に、ハンジは声を荒げた。
「エルヴィン!大変だッ!!」
「ハンジ…どうした?」
「Aがっ…リヴァイと付き合うかもしれない!」
「……は……?」
「だからエルヴィン、早くッ…!!」
「…ハンジ!」
─思わずハンジの肩を掴む私に、ハンジの『いてッ!?』という言葉は耳を通りすぎていった。
肩を押さえるハンジに、私は問いかける。
「ハンジ、Aは…どこにいる?」
「わ、分かんないよ!
でも…多分、リヴァイと一緒なんじゃないかな……」
「……探してくる。」
「エ、エルヴィンッ!?」
─私はハンジの声を聞かず、走りだした。
Aに会いたい、Aに伝えたい。
ただそれだけで、Aの姿を探す。
Aの部屋をノックもせずに開いた。
「A、いるか!?」
─Aはいない。
Aの部屋にも、リヴァイの部屋にも、Aが好きな兵舎の屋上にも、Aの姿は見つからなかった。
Aが行きそうな場所を記憶の中で探した。
「…あとは、あそこか。」
─それは以前、調査兵団に来たばかりのAを見つけた場所、再会できた場所。
私はAがいることを願い、その場所へ向かう。
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時