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#112 ▼ ページ12



ロイsaid




「あれは…春でした。」


彼は、黙って僕の言葉を聞いていた。


「Aさんと、初めてお会いした日です。」


Aさんと出会ったのは、まだ肌寒さの残る春。

そういえばあの時のAさんは、今より髪が長くて…確か腰くらいまであったっけな。

髪が綺麗な人だな、と、思っていた。

初対面の時は、


『ここ、オープンして気になってたんです!
素敵な花屋さんですねっ!』


なんて、優しい声で笑って言ってくれた。

まだオープンしたての新しいお店。

まだ僕も、花が好きなだけで仕事にも慣れていない、たまに来てくれるお客さんにも慣れていない頃。

緊張した心の中に、Aさんは溶け込んできた。


「…ありがとう、ございます。」


『何もしてないですけど…どういたしまして!』


「えっと……何か、お探しですか?」


『特に探しているわけではないんですけど…花が好きで、見るのも大好きなんです!』


「…ははっ、そうですか。」


『店主さん…笑ってる方が素敵ですよっ。』


「……ッ!!」


思わず、顔に熱が集中する。

正直、言われ慣れない言葉…ではなかったが、Aさんに言われる言葉は特別だった。

急に胸が締めつけられて、困惑した。


『あ、これ、綺麗ですね。』


「…あっ、梅花黄蓮ですね!」


『…初めて聞く名前だ。』


「わりかし、珍しい花です。」


『花言葉ってなんですかっ?』


「確か…『二度目の恋』です。」


『…えっ…。』


─驚いた表情のAさんは、顔が赤かった。

それを見た瞬間、僕の心臓が嫌な音を立てた。
Aさんには想う人がいると悟ったから。

僕は気を紛らわすように、言葉を続けた。


「その花、綺麗ですよね。
…僕も好きなんです。」


『…ふふっ、そうですね!』


「…えっと、あの、よかったら、差し上げます!」


『…えっ!?』


「今、オープンしたばかりで…来ていただいたお客様にはサービスさせていただいてるところなので!」


『えっ、で、でも……』


サービスしていたのは、本当だ。

Aさんは最初は戸惑っていたが、最後には『じゃあ…一輪だけください』と押しきられた。


『…押し花にしようかなぁ。』


「押し花、お好きなんですか?」


『あっ、えっと…本の栞にしたくて。』


「あ…よかったら、作りますよ。
そういうサービスもご提供していますので…」


『えっ…本当ですか?』


「は、はい!」


『嬉しいですっ!』


#113 臆病な背中→←#111 ▽



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設定タグ:進撃の巨人 , エルヴィン , リヴァイ   
作品ジャンル:アニメ
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氷飴(プロフ) - レンさん» コメントありがとうございます!(今私も調べてきたのですが、レンさんのおっしゃる通り“独占欲“って出てきました(ºωº`*))このお話を書いた時も調べていたつもりだったのですが、なぜか“執着”に……。教えていただきありがとうございます!(*´ω`*) (2020年4月25日 19時) (レス) id: 9625751614 (このIDを非表示/違反報告)
レン(プロフ) - ネックレスって独占欲っていう意味持ってるんですよ! (2020年4月25日 19時) (レス) id: 784374d164 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - にんじんさん» 一応、両想いになった後の続きも作りたいと思っているのですが…まだ考えがまとまっていない最中だったりします(´・ω・`) (2017年12月11日 12時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)
にんじん - この物語はこれで終わりですか?(´・ω・`) (2017年12月10日 23時) (レス) id: 1018656ff9 (このIDを非表示/違反報告)
氷飴(プロフ) - 京 鏡さん» そっ、そんな風に言ってもらえるなんて…思ってもみなかったよ!とても嬉しいッ!ありがとう!!頑張ります!!((o(*>ω<*)o)) (2017年11月3日 19時) (レス) id: 885b609761 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:氷飴 | 作成日時:2017年11月3日 19時

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