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とある夏の日のことだった。
噎せ返るような蒸し暑さに、鳴り止まない蝉の声。
そんな中、私は大きめのキャリーケースを引きずりながら、少しため息をつき、カンカン照りの太陽を恨めしそうに見上げる。
ある男から日本に来るよう要請する旨の書かれた手紙と、航空券が送られてきたのはつい数日前のことであった。
いろいろなことに理解の追いつかない私は、とりあえずアメリカでの仕事を大急ぎで片付け、なんとか言いつけ通りの場所へと向かっている。
相変わらず、本当に勝手で自由な男だ。
急に死んだと思った上司から手紙が届く私の身にもなってほしいものである。
そんなことを考えながら、私は目的地へと歩を進めた。
「……すっごい豪邸ね。」
目の前には"工藤"と書かれた表札と予想以上の豪邸。
インターホンを鳴らすと程なくして、聞いたことの無い男の声が聞こえる。
「ようこそいらっしゃいました。どうぞ、中へお入りください。」
私は言われたとおり、遠慮なく玄関の扉を開け、中に入った。
すると目の前には見たことのない顔をしているのに、私のよく知る佇まいの男が立っていた。
男は首元のスイッチを押すと、満足気な笑みを浮かべ、忘れることのなかった懐かしい声でこう言った。
「久しぶりだな、A。」
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アルファ - 赤井さん落ちもみてみたいです! (2020年4月6日 17時) (レス) id: 2d5813c050 (このIDを非表示/違反報告)
KORON(プロフ) - さわさん» う、嬉しいですっ!!!!泣行き当たりばったりで書いていますがさらにおもしろいと言っていただけるよう更新頑張ります!!コメントありがとうございます!!! (2018年8月28日 17時) (レス) id: 766c8774e0 (このIDを非表示/違反報告)
さわ - 面白い、、、(感動))更新頑張ってください!応援してます!! (2018年8月28日 17時) (レス) id: 0f495494f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:K | 作成日時:2018年8月24日 13時