ゆるふわ5 ページ7
その日の練習は授業と同じように集中できず、突き指をした。
そんなに腫れてなかったので、大丈夫だろうと誰にも言ってなかった。
でも。あいつは気づいた。
貴「にろ君!」
「ビクッ」
茂「どうした、仲嶋?」
貴「にろ君、突き指してます。」
茂「二口、そうなのか?見せてみろ…。少し腫れてるな。仲嶋、保健室行って冷やすもの持ってきてくれ。それと、念のためテーピング。」
貴「わかりました。にろ君、行くよ〜。」
「お、おう」
突き指をした左手とは逆の右手を捕まれ、保健室へ。
待て、よくよく考えれば今手繋いでないか。
柔らかいし、凄く小さい。ああ、何考えてんだよ、俺は。
保健室の先生が居なかったので、氷をビニールに入れて、冷やす。
水が漏れないようにって、ビニールを二重にして。
貴「にろ君。なんで言わなかったの」
俺の手を見て、俯いたままそう言う。
「そんな、腫れてなかったし…。」
貴「突き指くらいで言うとか、カッコ悪いって、思ったりしたんじゃない?」
…。それも、事実。仲嶋にそんな姿は見せたくない、と思った。
貴「言わない方がカッコ悪いよ…!」
漏れないようにしていたはずの氷水。けれど、俺の手に水がぽつりぽつりと流れてくる。
仲嶋の涙だった。
仲嶋は顔をあげ、言う。
貴「私、マネージャーになってから一週間くらいしかたってない…。でも、臨時でもなんでもマネージャーだから…!舞ちゃんみたいにとは言わないけど、頼って…!」
仲嶋も仲嶋で、色々考えてたんだ。
そう思うのと同時に、綺麗だと思った。
最低だな、俺。泣いてる女の子見て、綺麗とか。自分のために泣いてくれてるって嬉しいとか。
最低だわ。
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タケ焼き - 最近二口もはまっててもうこの作品見たら一瞬三途の川見えました!! (2020年5月5日 13時) (レス) id: b1a2c58828 (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュ - 今更なんですが...滑津ちゃんはD組ですよ!お話面白かったです! (2019年9月22日 23時) (レス) id: 490ab1aedc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イチゴヨーグルト | 作成日時:2016年5月9日 23時