30.痛い。 ページ31
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「おいデブ、もっとそっち詰めろ。お前の毛玉髪がくすぐってぇ」
『おい、聞き捨てならないな。ぶっ飛ばすぞ』
かっちゃんは無理矢理にでも動かそうとする。
仕方なく詰めると、かっちゃんは少しこっちに寄ってきてこちらを見た。
顔の距離は10センチ。
下手すれば息が当たってしまう。
無意識に息を詰める。
「んで、俺に話すことあんだろ？」
コクリ、と頷くとゆっくりと話し始めた。
『私ね……お母さん居ないの』
かっちゃんは静かに頷く。
全て話し終わるまで、聞きたいことは待っていてくれるらしい。
そんなかっちゃんに安心して、私は続きを話し出す。
『5歳の時なんだけど、お父さんはプロカメラマンで色んな国からオファーがあって、どこにでも飛んでった。そんなお父さんを尊敬してて、憧れてた。
あの日も、お父さんは出張だった。
お母さんは「寝たら時間が経ってお父さんが帰ってきてくれる」って言うから、寝たの。でも、トイレに起きちゃってたまたまリビングから光が漏れてて……
見たら、お母さんが他の男の人といたの』
そこまで話して、一息つく。
かっちゃんは目を逸らさずに、私の金色の瞳を見つめていた。
『それで、玄関から音がして、ビックリしてトイレに駆け込んで……お父さんが帰ってきててね。
私、幼かったからどうしてお母さんは他の男の人と居るんだろうって不思議に思って……
そこからは覚えてない。
でもね、』
ギュッと拳を握る。
『お父さんとお母さんが離婚しちゃったのは、私のせいだっていうのはよくよく分かった』
ずっとそう思っていたけど、いざ口に出すとより実感する。
私の憧れを、幸せを踏みにじったのは、自分自身だっていうことを。
『それでお父さん、お酒とかタバコとかしなかったんだけど、どっちもやり始めて……女の人とも遊ぶようになった。
酷い時は……暴力まで振るうようになった。
私のこと“緋色”って呼ぶの。お母さんの名前で……』
怖くて、そうしてしまった自分が憎くて手が震える。
そんな私の手を、かっちゃんはそっと握りしめてくれた。
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なつめ(プロフ) - 湊真さん» コメントありがとうございます！うわぁぁぁぁぁぁぁ！嬉しいです！他作品もよろしくお願いします！ (2020年2月9日 10時) (
レス) id: dca3be50ef (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - 爆豪推しさん» コメントありがとうございます！後日談、書いてみようかと思います！しばしお待ちください！ (2020年2月9日 10時) (レス) id: dca3be50ef (このIDを非表示/違反報告)
湊真(プロフ) - 久しぶりにＭＨＡ関連で号泣しました・・・！！お疲れさまでした！！ (2020年2月9日 9時) (レス) id: e706ac4195 (このIDを非表示/違反報告)
爆豪推し - とても面白かったです！！ その後の事が気になります！！ (2020年2月9日 8時) (レス) id: 21ba795355 (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - 桜ひかりさん» コメントありがとうございます！頑張ってみます！！ (2020年2月8日 20時) (レス) id: dca3be50ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なつめ | 作成日時：2019年12月15日 17時
