貴方の隣で。《紫》 (ページ20)

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濵田教授と、キスをした。

私は、遊ばれているのだろうか。

｢さぁ、今日はなんの話をしようか｣

教授は私の頭をふわりと撫で、

私と話すときの定位置である

目の前のソファに腰掛けた。

まるで、キスをした事なんて

大した問題では無いかのよう。

『そういえば、ここに通いだして、今日は丁度3週間なんです。』

｢もうそんなに経つんだね｣

教授はテーブルに置かれた卓上カレンダーを見て、

まだ1月のままだったそれを捲った。

『人間観察を初めて3週間。あまり大きな進展は無いです。』

｢そうか｣

『ただ、発見は沢山ありました。正直、友人を怪しんでいる自分も居るくらいです。それに、兄の事も知りましたし。』

｢そうだね。｣

教授の相槌は、とても落ち着く声で好きだ。

『それで、なんだか少し、兄に会いたくなったんです。』

｢いいね。僕も久々に会いたいなあ。｣

『実は、兄に久しぶりに会えないかと連絡していて、丁度返事を待っているので、もし教授の都合が合えば3人で会いませんか？きっと兄も喜びます。』

｢ふたりが良いのなら勿論嬉しいよ。是非3人で。なんなら明日でも、僕は割と仕事が少ないのでね。｣

軽く微笑んだ教授の目はとても優しかった。

嗚呼、好きだな、なんて。

私は、いつメールを送っただろう、

と確認するために携帯を取り出した。

『あ、教授、返事が来ていました。…明日にでもって、』

｢それは素晴らしいね、是非会おう｣

『はい、その様に兄にも伝えますので。ありがとうございます、よろしくお願いします』

｢こちらこそありがとうね。楽しみだよ。｣

こうして明日、3人で会う約束を取り付けた。

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