貴方の隣で。《紫》 (ページ12)

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｢なんか、二人でゆっくり話すなんて久しぶりな気がするなあ、いつも一緒に居んのに。｣

『そうだね。』

薄暗くなった公園のベンチ。

さっきドリンクショップで買った

ホットコーヒーで手を温める。

｢寒なったなぁ。｣

『そうだね。』

神山くんは寒さで赤くなった鼻を

マフラーに埋めていた。

｢なんか、話したいことがあるんか？｣

『…最近物騒で、色々疲れたから気分転換しようかなと思って。今それに付き合ってもらってる。』

｢へえ、意外。疲れちゃったんやな。ありがとう俺を選んでくれて。｣

神山くんの言う

意外、というのはきっと

私はいくら物騒でも平気でいると思っていた

という事だろう。

間違いない。

人付き合いの上手い人はきっと

嘘をつくのが上手い人だ。

｢気分転換か。なんか遠くに出掛けてみたら？｣

『遠く、か。久々に東京に居る親戚にでも会いに行こうかな。』

｢東京か、ええやん。まあ、それこそ物騒やけどな｣

神山くんは少し笑っていた。

『私、最近全然遠出してないな。神山くんは最近何処か出かけたりした？』

｢俺はなぁ…、あ、それこそ東京行ったで、最近。｣

＿＿＿＿東京。

いや、きっと違う。

決定的な根拠も無いのに

決めつけるのは良くない。

『いつ行ったの？』

｢いつやっけなぁ、3週間前くらい？俺らがちっちゃいときから遊んでもらってた近所のお兄ちゃんの結婚式でさ。東京でクリスマスに挙げて。ロマンチックやんなぁ…憧れるわ。｣

『…素敵だね』

クリスマス当日、

神山くんは東京に居た。

あの事件が起こったのは確か

＿＿＿＿クリスマスの夜。

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