幼なじみが落とそうとしてくる。その2【五条悟】

48. 嫌い？ ページ4

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「嘘をついてはいけません。」



幾度となく言われてきた、このセリフ。

多分だけど、嘘をつこうと思ってついている人はいない。
相手のことを思って、自分を守るため、怒られたくない…など、理由は様々。



分かっているよ、嘘をついちゃいけないってことぐらい。
でも、人間は自然と嘘をついてしまう生き物だ。






『避けてなんか、ないよ…。』

「行動と言葉が合ってねぇよ、バカ。」



やっぱり矛盾を指摘され、口をつぐんだ。
そんな私に、悟はどんどん詰め寄ってくる。



「俺のこと……。」



優しく、割れ物に触れるかのように、私の手にそっと触れてきた。
握るわけでもなく、本当に触れているだけ。

びっくりして固まっている私を見ながら、悟は言葉を続けた。






「俺のこと、嫌いになった？」






好き嫌いの問題ではないのだ、これは。
悟の好きの形は違うけど、嫌いではない。

でも、そういう問題ではないことを伝える手段が見つからず、否定することができなかった。
すると、悟の顔がどんどん歪んでいくのが分かった。



「嫌いにならないでよ、マジで。
俺、Aに嫌われたら、生きていける自信がマイナスになります。」



ひどく落ち込んでいる悟を見て責任を感じ、『嫌いじゃないよ。』とだけを伝えた。
でも、その言葉のニュアンスの伝わり方は人それぞれである。




『…嫌いじゃないけど……ごめん。
落ち着くまで、このままでいたい。』






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