霞柱に転がされています【時透無一郎】

18.あーんして？ ページ19

そして、五つ目をお皿に入れたかと思うと、そのお皿と箸を私の前に置いた。



「あーんして？」



『へっ？』



あ…あ…あーんですと！？



「Aは嫌がったけど、僕はしてほしいなぁ。」



無一郎くんは机の上に身を乗り出し、両手で頬杖をついた。



私は座ったまま仰け反り、ふろふき大根に視線を落とした。



「ほら、早く。」



無一郎くんは、あっと口を開けた。



私はおずおずと箸を手に取り、ふろふき大根を一口大の大きさに切った。



そして、箸でそれを挟み、彼の口元に持っていった。



先輩だけど年下だし、年下だけど先輩だし…なんか、悪いことをしている気分だった。



こっちが恥ずかしい…。



「……ふふ、二倍おいしい。」



無一郎はふろふき大根を飲み込み、嬉しそうに微笑んでいた。



『残りは自分で食べてね。』



ズイッとお皿と箸を無一郎くんに方に動かした。



「仕方ないなぁ…。」



いや、仕方ないのはどっちだ！！

19.一枚上手 〜無一郎side〜→←17.成長期？

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す