幼なじみが落とそうとしてくる。【五条悟】 (ページ10)

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9. いっぱいいっぱいページ10

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午前8時過ぎ。
いつもより早く学校に着いた。

「おはよ。
今日、いつもより早くない？」

『うん。
１本早いの乗った。』

今日はいちごの飴を舐めている硝子に苦笑いを向け、席にストンッと座った。

早く学校に着いた理由は、朝イチに悟と会いたくなかったから。
あの電車に乗ると会ってしまう。

……結局学校で会うんだけどね。

「昨日より疲れてない？
生きてる？」

硝子の言葉に、『生きてるよ。』と、疲労感100%の声で返事をする。
彼女の言う通り、あまり眠れなかったので疲れている。
頭の中が、悟のことでいっぱいいっぱいだったからだ。

あっ、恋愛脳ではないので…！！

「おはよう。」

私の隣を通り過ぎようとした夏油くんが、顔を覗き込んできた。
かっこいい顔がいきなり目の前に現れたので、心臓が止まるかと思った。
(いや、一瞬は止まってしまった気がする。)

『おはよう。
急に覗き込まないでよ…。』

胸の辺りを押さえ、ふぅっと息を吐く。
夏油くんはそんな私の姿を見て、爽やかに「ははは。」と笑っていた。

未だにドッドッと鳴っている心臓を感じながら、リュックの中に手を入れた時、机の上に、影がかかった。

「おはよ。」

顔を上げると、笑ったことなど一度もないというような顔の悟が、私のことを見下ろしていた。
座っているから、尚更大きく見え、変な圧迫感を感じる。

『お、はよ…。』

昨日のことが鮮明に甦る。

＂「マジで好きだよ。」＂

ボンッ！と、顔が一気に熱くなるのが分かった。
冷やすためと、赤くなるのを隠すために、両手で両頬を覆った。

「話あるから、今日一緒に帰んぞ。」

『え？』

私の返事を待たず、スタスタと自分の席へと行ってしまった。

「は？
何？
どういうこと？」

驚いている硝子は、飴をそのままゴクリと飲み込んだ。
夏油くんも、私と悟を交互に見ている。

「んー…。
何かあった？」

楽しそうに女子たちと話している悟に視線を向けながら、夏油くんは不安そうに聞いてきてくれた。
私は首を横に振り、『大丈夫。』と、ぽつり呟いた。

だって、昨日のことに間違いないから。

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