一途にも程があるその3【時透無一郎】 (ページ7)

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97.寝れないページ7

ドキドキドキドキ…

心臓の音が体中に響き、寝ようにも寝れない。
無一郎が私の背後で寝ているってだけでも寝れない。

羊が1匹…羊が2匹…羊が3匹…「A？」

「寝れないの？」

無一郎の穏やかな声が背後から聞こえた。
振り向くと心臓が爆発しそうなので、振り向かないまま『うん。』と返事をした。

「大丈夫、俺も寝れないよー。
Aが隣で寝ているってだけで、眠くならないもん。」

サラッ…と、無一郎の大きな手が私の髪を撫でる。
ビクッと体が震えてしまい恥ずかしい…。

というか、無一郎も私と同じ気持ちなんだ。
今まで色々な子と寝たくせに(こら。)

「Aから俺の匂いする。」

クンクンと、私の頭を嗅いでいる…と思っていると、ぎゅうっと後ろから抱きしめてきた。
まるで、抱き枕状態だ。

『あの…寝れないです…。』

「じゃあ、寝れないついでに俺の話聞いてくれる？」

『うん、いいよ。』

「ありがとう。」というお礼と同時に、頭にちゅっとキスをされた。
ああ、もう、ずっるー。

「俺ね、今まで色んな子と遊んできたでしょ？
＂付き合えなくてもいいから遊んで＂って言われて遊び始めちゃったのもあるけど、もう一つあるんだー。」

話したいことって、女遊びの理由かい！
もやもやとしながら、『もう一つ？』と聞いた。

「＂好き＂って言ったくせに、他の子と遊んでいる俺を見て、やきもちを妬いてほしかったんだ。」

『……はい！？』

夜中だというのに思わず大声を出し、無一郎の腕を振り解くぐらいの勢いで体を起こした。
「うるさいなぁ。」って呑気に言っているけど、それどころじゃない。