113.壁を砕く ページ23
「A、手あったかいね。」
『お酒のせいかも。』
「人間カイロだー。」
『何それ。』
クスッと笑うと、無一郎はグイッと引っ張り、私のことを引き寄せた。
私と彼の体がくっつき、くっついた部分に全神経が集中する。
「こうした方が、もっと人間カイロだね。」
『そ…だね。』
こんな返事をしてしまうと、無一郎に悟られてしまう。
彼は腰をかがめ、ヒョイッと私の顔を覗き込んだ。
「なーに?
その反応、照れてる?」
心臓がドキドキ、いや、バクバクと鳴っている。
『だって…来てくれるなんて思わなかったから…。』
「それでさっきからずっと、目、合わせてくれないんだ。
かわい。」
恥ずかしくて、マフラーに顔を埋める。
「ね、こっち見てよ。」
『そんなこと言われて見れない…。』
「見ーて。」
無一郎は、私が作った壁を易々と乗り越えてくる。
いや、壁を砕いているのは私自身か。
チラッ…と、視線だけ無一郎の方を見た。
それだけも彼は嬉しそうに目を細め、「素直。」と一言だけ言った。
たったそれだけで胸がきゅうっとなる。
お酒のせいだ…。
そう、お酒のせいだから、余計なことも言ってしまう。
『あのね…私、炭治郎にきゅんってしたんだ…。』
「…え?
何、いきなり。」
『頭ぽんぽんってされて、きゅんってなった。
でも、無一郎は、隣にいてくれるだけできゅんってなる。
あの…つまり…すごい好き…です。』
………うわぁぁぁぁ!
何言ってるんだ私!!
お酒のせい、お酒のせい、お酒のせい…(以下同文)
「はぁーーーーー…。」
無一郎は長ーーーーいため息をつき、私の両頬を両手でムギュッと挟んだ。
「もーーーっ!
何なの本当に!
これ以上好きにさせたら、死んじゃうから!
かわいすぎでしょ!」
怒っているのか喜んでいるのかどっちなんだ?
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優衣 - 無一郎の大好きにやられた♥️私も大好きだよ❗ (2023年5月8日 10時) (レス) @page5 id: 95d1cd5894 (このIDを非表示/違反報告)
ともりん - 朔夜さん» 突然すいません!今、95話目なんですが読んでる私の方がキャパオーバーです!助け下さい (2020年8月10日 7時) (レス) id: 954e71dea0 (このIDを非表示/違反報告)
雪名零(プロフ) - 花炭さん» 私も連れて行ってぇ!!! (2020年8月1日 21時) (レス) id: efe191c876 (このIDを非表示/違反報告)
雪名零(プロフ) - 朔夜さん» そうだね!もうしてたわ(笑) (2020年8月1日 21時) (レス) id: efe191c876 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - ユイさん» 楽しんでくれてうれちぃ(ぶちゅちゅ (2020年8月1日 20時) (レス) id: eb37705ec2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2020年7月22日 22時