私の隣の王子様 その8【竈門炭治郎】

326.自粛期間 〜炭治郎side〜 ページ19

悲しい、悲しい、悲しい。
遂に来てしまったこの日が…。
A自粛期間だ…。



「た、ん、じ、ろ♡
って、生きてる？」
『生きてない。』
「即答だから生きてるな！」



食堂でチーンと、机の上に伏せている俺の背中を善逸がバシバシと叩いた。



「聞いて聞いて！
内々定もらった！！！
伊之助も！！」
『へー、よかったなぁ。』
「棒読みぃぃぃ！！」



それは本当にめでたいことだが、俺の頭の中ではAがぐーるぐると回っていた。
テスト前ということで、『テストが終わるまで、会うの控える！』と宣言されてしまったのだ。
そんな真面目なところも好きだけど、◯◯ランドに行って以来、まともに会えてないぞ！！
隣に住んでいるのに…！！



「お祝いしてくれよぉ。
頼むよぉ。
Aちゃんも蜜璃ちゃんも呼んでさぁ。」



善逸がねだるように、俺の背中をすりすりとさすってきた。
そこは友達として祝ってあげよう。



『それはもちろんいいぞ。
でも、俺がAで充電してからな。』
「だーかーらー、そこで王子様スマイル見せなくていいんだって！！」



善逸は文句をぶつぶつ言いながら、ペットボトルの水をぐびぐびと飲んだ。



「で、充電って何するの？」
『俺に言わすのか…？』



そう言ってニヤリと笑うと、善逸は顔を赤くした。
蓋を閉めずにペットボトルを勢いよく置いたせいで、水がピシャッとこぼれた。



「炭治郎のえっち！！」
『想像した善逸が悪いだろ…。』



善逸が想像したのはまぁ…そうなのだが、俺はただ近くにいてくれるだけでいいんだ。
あー、話をしたら会いたくなってきた。

327.自粛できません→←325.お土産

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す