001.増田俊樹 ページ1
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突然だけど、私はお酒が飲めない。
辛い記憶もお酒を飲んで忘れられるのならば、
今すぐにでも喉に流し込んでいただろう。
________だけど
声を大事とする職業に就いているわたしの一番の天敵である“酒焼け”
すぐに喉が涸れてしまうから、大事な飲みの場でもいつもノンアルコールで済ませていたのだけど
今行われている、3年間もの間続いた長編アニメの終了を記念した打ち上げで
監督やプロデューサー、先輩の方たちが突然始めた
「『みんなおちょこ持て〜!』」
【日本酒一気飲み】
全員の前に置かれたおちょこにノリノリに注いでいく先輩達
ここで「飲めない」なんて言ったらきっと軽蔑された目で見られるのはわかっていたから
監督「おーい飲むぞー?」
「はい!笑、いただきます!」
仕事として割り切ろう
そう意を決しておちょこを手に取ったその時
私の手からおちょこを誰かに取り上げられ
空のおちょこが私の手にハマった
その主は
増田「無理しなくていいでしょ」
複雑な思い出で少し関わるのが気まずかった、
増田くん……いや、俊樹だった。
私はただただ空になった彼のおちょこを眺めることしか出来なくて
増田「いただきまーす!」
場を盛り上げる俊樹を横目で見た。
……お酒、強い訳じゃないのになんで
少し無理をする彼を心配しつつも
優しさに胸を躍らせた。
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作者名:にむ | 作成日時:2021年9月8日 13時