道を聞いたら誘拐された。『文スト』

5日目 ページ5

「着いたぜ」



「わざわざありがとうございました。助かりました」



「おう。観光、楽しめよ」





俺は手を振ってその場から去る。同時に、ちょっとした孤独感と喪失感。





「…俺、アイツからはなれたくねェのか」





俺はアイツに、一目惚れ、したのか。



マフィアが一般人に惚れたなんて聞いたら、部下でも俺を軽蔑するか？いや、流石にしねェか…。



にしても、かなりの美人だったな…。





「どこ行ってたのさ。首領(ボス)が早く戻ってこいって言ってたけど」





包帯まみれの太宰治。癪だが、コイツは俺の相棒だ。が、仲がありえないほど悪い。





「手前に言われる前に戻ろうとしていたンだよ。さっさと手前は俺の前から消えろ」



「私はね、好きで君に声をかけてないのだよ。言われなくても今すぐ消えるさ。……一つ、いいかい？」



「何だよ」



「最悪だ。君の機嫌がとても良く見える。理由は？」





最悪だ、はいらねェだろ。でも、コイツから見た俺は、機嫌がいいのか…。





「手前の言う、美人を道案内してたンだよ」



「ふーん。中也が美人って言うなんて、珍しいねぇ。監視カメラの映像を奪って君たち二人を捜してみような？」



「馬鹿言うんじゃねェよ」



「美人だったら攫おうかなー？」



「馬鹿言うんじゃねェよ！！」





俺はそのまま拠点に戻る。









_____いい案じゃねェか。




_____攫ッちまえば、いいのか。

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