二章 霊能アラカルト ページ9
深夜の部屋に、衣擦れの音が響く。
むき出しの肩に回された腕。肌と肌とが触れ合った場所が、燃えるように熱い。
「ねえ」
耳朶を吐息が掠める。
「君は悪くない」
振り返ってはいけない。
低くて滑らかな声が、震えるみたいに媚を含んだ。
「だって、君はただ、有りの侭に生きているだけだもの」
振り返れば、戻れなくなるから。
「壊したのは誰? 憎いのは誰?」
細い指が、僕の背をなぞった。
「見返してやろうよ。俺が君を助けてあげる」
たとえ、背後に待ち受けているモノが、
美しい、美しい鬼だったとしても。
「だから、俺と一緒に行こう」
振り返ってしまった旅人を、人は愚かと責めるのだろうか。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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花尾安紀(プロフ) - 昴さん» お読みくださりありがとうございました! 更新頑張ります! (2016年5月4日 6時) (レス) id: 441a893882 (このIDを非表示/違反報告)
昴(プロフ) - 読ませていただきました!とても面白かったです!更新頑張ってください(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年5月4日 3時) (レス) id: bf11e41d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花尾安紀 | 作成日時:2016年5月3日 18時