第二十四話 ページ25
「日本三大怨霊のひとつである、平将門……その遠い親戚であったAの父一条将芳は狗巻家宗家の三女狗巻紗栄子と結婚する。」
「彼等は日本を代表する一級呪術師で特級ではないものの、それに準ずる力を持って世界中を飛び回っていた。」
「ある日、紗栄子に新たな命が見つかり彼等は前線を離れ、君がしっかり育つまでは呪術師としての活動はしていなかった。」
「ちょ、ちょっと待ってください!日本三大怨霊の一つ!?なんかさっきから色んなパワーワードが出過ぎて頭が追いつかないんですけど…」
「まぁまぁ!聞いて聞いて」
「君が産まれた翌月…父である将芳の出身家である一条家から二人共に前線に戻る事を伝える手紙が来たらしい。」
「呪術師はずっと人手不足だからね。それに、一級呪術師の中でも抜きん出た実力を持つ二人が抜けた戦力差は大きかった。」
「けど、その通告を無視していた二人は遂には両家ともに家を追い出された。
だから、君はある程度歳をとった時、一人暮らしを始めただろう?」
そうだ。そうだった…中学に上がった頃におばさんにアパートに一人で住むように言われた……
「そう。通常、呪術師の血を引くものは呪術師として育てられるが、Aの場合は両親がそれをしなかった。普通の子として育てると彼等はいつも言っていた。」
「待ってください…それじゃああのトラックでの事故は!?」
「……呪術師側はなにもしていない……両家ともに彼等はいないものとして扱っていたからね……ただ……考えられるのは夏油が裏で手を引いていたという事だ。」
その言葉に僕の胸に衝撃が走った。
「ど……どういうことですか…」
「二人は本当に教育熱心でね…
君を残して先に逝くなんて考えもしなかっただろう。
無念を残し亡くなった人は呪いとしてこの世界に留まることが多い。
夏油はそこに目をつけた。
日本三大怨霊の一つの子孫である将芳と狗巻家きっての実力者である紗栄子の呪いを集めようとしたんだ。
結果、夏油の予想通り君の両親は君を助け死亡。
呪いになった。」
「そんな……全部あいつが……」
「僕達呪術師側も君達家族をずっと監視していたんだが、夏油がまさか事故に見せかけて二人を殺すとは思わなかった……ごめんよ。」
「いえ……五条先生達はなにも悪くないんです…悪いのは全部……あのクソ野郎のせいだ!」
腹の中でふつふつと怒りがマグマのように湧いてくる。
なぜ人を殺してその息子とあんなニヤケ面で会うことができる!?
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時