検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:50,191 hit

第二十五話 ページ26

その瞬間に僕の背中辺りから黒い靄が出てきて、僕と五条先生の前に二つの形を作っていく。

だんだんとその姿は人の形をしていく。

そう。靄は僕の母と父の姿になった。

「やぁ…A大きくなったなぁ。な!紗栄子」

「そうね…本当に大きくなって……A!」

母が僕に向かって抱きついてくる。靄から出たとは思わないほど…形があって…暖かくて心が満たされる感覚だ……

どこからどう見ても、いつも見ていた遺影の二人と同じ顔をしている。

「五条もうちの息子が世話になってるな…これからもよろしく頼むぞ。」

「はい。任せてください一条さん。」

未だに母さんは僕にずっと抱きつき、鼻をすすっている。泣いているのだろうか…

「A…貴方が怒りに任せて力を振るう必要は無いのよ。」

「そうだ…お前が夏油如きに熱くなってどうする!?お前は母さんと父さんの息子だろ?」

「でも、でも!アイツは母さん達を…!殺して…!」

「それはもう過ぎた事だ…俺達もアイツに取り込まれず、こうやってお前の傍にいてこれた。アイツの目論みは外れたよ。」

「けど、僕は一緒に生きたかった!家に帰ったら二人がいて…一緒にご飯食べて…それから…!」

今まで一人だったからだろうか…いつもは寂しいと思った事はなかった…いや、本当はずっと寂しかったんだ。

自分の心に蓋をして隠してきたけどずっと寂しかった…
父の暖かくて大きな手が頭に乗っかる。

「今まで寂しい思いさせちまってたんだなぁ…近くにいて気づかなかった…ごめんな。辛い思いさせちまってよ…」

母は目に大粒の涙を浮かばせながら僕の耳元で囁く。

「辛かったよね…寂しかったよね…ごめんね…貴方を守るためにやったことだけど…結果的に貴方を悲しませてしまってたわ…」

そう言われ…何故か心の中の鎖が解け、氷が溶けたみたいに心の中で暖かい感情が溢れてきた。

「うん……うん……!」

いつの間にか目には涙が溜まり、頬までずり落ちていった。

そこからはもう涙が止まらなかった。

涙の止め方を…忘れてしまったみたいに。

「男は泣いたら泣いた分だけ強くなるんだ……いっぱい泣け…いっぱい喚け…今だけは…全部受け止めてやる。」

母の後ろに父が腕を僕に回して二人を抱きしめる。
とても…とてもあったかい……

その時は時間を忘れ…目が腫れるほど大泣きした…

その間、母も父も五条先生もとても優しい顔をして…僕を見つめてくれていた…

第二十六話→←第二十四話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
40人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , アニメ , ジャンプ   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。