釣り堀 ページ36
カルナside
三日月が顔を出した頃
私は一人、森へ残り修行を続けていた
先程までは
ナルトとサスケも居たが、二人はチャクラコントロールを身につけた為先に帰ってもらった
と言っても
「女のお前一人を此処に残すのは危ない」と、なかなか帰らない二人を無理矢理帰すのには苦労したが...
私も頂上手前までは登れるようになったため
あと一歩、と言うところだ
今晩には登れるようになるだろう
その後
何度もクナイ片手に木登りを続けた
・
ザザーッ
あれからさらに1時間
無事頂上まで登ることのできた私は
森を下り
釣り堀で月を見上げていた
すると
誰かの気配と共に
小さな足音が聞こえた
イナリ「ッ...」
振り返ると、少年が一人
イナリ「姉ちゃん、木の葉の忍びなのか?」
頷き話を聞くと
どうやらこの少年はタズナのジジイの孫らしく名を"イナリ"と言うらしい
ナルト達とは何度か顔合わせをしていたようだが
生憎私は
あの家には数回、しかも短時間しか滞在していなかったためイナリに会うのは今が初めてだった
「何でそんな沈んだ顔してんのか知らないけど
早く家帰った方がいいんじゃない?」
いつまでも私の隣にいるので
流石に参った私がこう言うと
「ナルトの兄ちゃんがいるから嫌だ。」と言った
...アイツは誰とでも揉め事を起こすのか、と
とことん呆れた
イナリ「俺の父ちゃん、町の英雄だったんだ
町のためなら命をかけて戦う強くて優しい
自慢の父ちゃんだった...」
暫くの沈黙を経て
イナリが勝手に話し始めた
...別に頼んでないんだが。←
イナリの父、カイザがガトーに殺されたこと
カイザが"英雄"だったと聞き、ナルトが"英雄は存在する"と必死に強くなろうとしていること
そんなナルトに対して自分は
酷いことを言ってしまった、ということ...
空を見上げる私の隣で
真っ赤に腫らした目を擦りながら静かに泣くイナリ
誰にも自分の苦しみ、悲しみは理解することはできない
だからこそ
どうにかして今の自分を変えたい
でも結局、変えるきっかけすら掴めずにただ時間だけが流れていった
その結果イナリは
何年も経った今でもこうして
誰にも知られぬよう静かに泣いている
一族を失った私に比べれば
たかが父親一人を失ったイナリの悲しみなんて、とは思うが
同じ"大切な人"を失った者同士
何処か重なる部分があった
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作者名:星音 | 作成日時:2019年2月8日 21時