# 旧人募集 ページ2
『はぁ…腰いた…』
梅「あ、昨日?」
『へっ?!ちょっ…えっと、どういうこと?』
梅「図星?やったんだ」
『いや、別に…なんもしてないし…』
梅「ふーん…そう」
とあるゲームのトークイベント
出番がまだなので椅子に座って待っている
照明がなく、暗めだ
ステージの方から聞こえる声が、僕の緊張をより一層盛り上げ、梅ちゃんの声が僕の緊張をより柔らかくした。
隣に座るのは同い年の梅原裕一郎だ
梅「なーんだ、もうてっきり江口さんのものかと」
『…まぁ…』
まだ付き合ってはいない
きっと昨日のも遊びだ
僕は酔っ払ってたし
たかが可愛い後輩な感じなんだろう
梅「じゃあこういうことしても…」
さっと腰に手を回される
触り方がいやらしい
『ちょっと!』
梅「感じてるじゃん」
『感じてないし!!!やめて…』
昨日やら、この前やら
思い出したくもない、僕の気持ちだけが一方的で
いつも失敗して
伝え方知らないんだ、自分
笑って欲しい
そのままでいて
梅「ごめん…そんな顔させるためじゃなかったんだけど…」
『大丈夫だよ、ちょっと』
梅「最近元気ないでしょ、なんかあった?」
『別に…』
梅「昨日も結局帰ってこなかったし、なんでも話せよ、俺たち出会って2ヶ月とかの仲じゃないんだから」
そうだ
梅ちゃんは小学校から一緒だ
昔からみんなに必要とされていた梅ちゃんが
その梅ちゃんは
1度も僕を見捨てなかったかもしれない
一緒に夏をすごし、ある時は春をすごし、そのまたある時は冬をすごし、次の日には秋をすごし
それでまた夏をすごした
明日を待った
どんな時でも、梅ちゃんは俺を必要としていた
でも僕は…僕は1度だって
『ううん、本当に大丈夫だから、ちょっと緊張してるだけ』
梅「……そう」
「梅原さーん!!次出番です!!スタンバイお願いします!」
『頑張ってね、僕もすぐ行くから!』
梅「うん、待ってる」
そう言って彼は舞台上へと消えていった
ペンライトや黄色い歓声で包まれたその先は、
あと数分程で僕が向かわなければいけない所だった
眩しかった
ただ、その姿に嫉妬した
だから僕はきっと、この職についてしまったのだと思う
自分ではない
偽りのかっこよくて、可愛くて、それこそ
「
『…はーい!』
誰にだって必要とされるんだから
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作者名:幻路 | 作成日時:2020年7月19日 11時