検索窓
今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:327,815 hit

26 ページ26

.








保健室には先生が居なくて、真っ白な空間に私たち二人きりになる。









『大丈夫?寒くない?』




北「大丈夫だってー。Aちゃんは心配性だなぁ」









保健室にあった真っ白なタオルを渡すと、ベッドに腰かけた吉野くんはそう言って笑った。









北「俺よりAちゃんは?濡れなかった?」




『私は全然、!吉野くんが守ってくれたから』









私もベッドの近くに置いてあった椅子に腰を落ち着かせ、ぶんぶんと首を振った。






吉野くんが守ってくれたから、私は一滴も水がかかることは無かった。私の心を簡単に読み取っちゃって、辛い時は手を差し伸べてくれて。








『吉野くんは、私のヒーローだね!』








そう言ってにっこり笑うと、吉野くんは微笑みを返してくれた。






だけど、その微笑みにはなぜか悲しみが浮かんでいるように見えて、そして、その微笑みもすぐに力なく消えた。









北「.......俺はヒーローなんかじゃないよ......」









そう呟いた吉野くんの切なげな表情に、私の笑顔もスッと引いていく。





吉野くん.....?









たまに吉野くんは、悲しそうに、切なそうに笑う。






笑ってるけど、瞳の奥は涙を流しているようで....。
そんな微笑みを見ると、何故か私も泣きそうになるんだ。









北「.......ねぇ、Aちゃん」




『なぁに.....?』




北「俺、Aちゃんが俺のことで先輩に言い返してくれたの、すっげー嬉しかったよ」




『えっ?』









そう言いながら、吉野くんが私を見つめながら、近づいてきた。





まっすぐな瞳で見据えられ、思わず頬が赤くなるわたし。





先輩とのやりとり、見られてたの!?





あの時はもう夢中だったから、恥ずかしい......っ!







っていうか、ち、近いよ、吉野くん.....!









.

27→←25



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (243 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1070人がお気に入り
設定タグ:吉野北人 , THERAMPAGE   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:MINT | 作成日時:2020年2月15日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。