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え.....?
おそるおそる目を開けると、目の前には.....。
北「.......つめてー」
『吉野、くん、?』
私を水から守るように、びしょ濡れになった吉野くんの姿があった。
「な、なんで北人が、、っ!」
先輩が、目を見開いて吉野くんを見てる。それと同時に膝の力が抜けて、私は思わずその場に座り込んだ。
北「Aちゃんになにしようとしてんの、先輩」
見えるのは背中だけなのに、その背中がビリビリと怒気を放っている。そして、怒ってるってわかる、いつもより低い吉野くんの声。
先輩が肩を震わせながら、大声で叫ぶ。
「な、なんでそんな子の肩持つのよ、!たいして可愛いわけでもないし、なんの取り柄もないじゃない!!!」
先輩に指を指され、憎しみを全てぶつけられたようで思わずびくっと肩が揺れる。
北「は?」
だけど、その先輩の怒りを遮る吉野くん声。
北「無駄に着飾ってこんなことする先輩なんかより、何千倍も可愛いと思うけど?」
「......っ」
北「あと」
そう呟いて、キッと鋭い眼光を先輩に向ける吉野くん。
北「この子に手出したら、許さないから」
「わ、わかったわよ、!」
先輩はそう叫ぶと、走り去ってしまった。
先輩の姿が見えなくなると、吉野くんが振り返って、まだ立てないでいる私の前にしゃがみ込んだ。
北「泣かないで?Aちゃん。もう大丈夫だから」
『え....?』
言われて初めて気がついた。いつの間にか、涙が溢れてたんだ。
北「怖かったね」
吉野くんがニコッと優しい笑顔を見せて、私の頬を伝う涙を親指でそっと拭う。その笑顔にツンと鼻の奥が痛くなって、また涙が溢れ出す。
『助けてくれてありがとう、、。でもごめんね、私のせいで吉野くんがびしょ濡れになっちゃった、』
北「Aちゃんが濡れなかったら、それでいいんだよ。それにAちゃんが謝ることじゃない。怖い目に遭わせちゃって、ごめんね。」
吉野くんが、まるで私を安心させてくれるみたいに、優しい笑みを浮かべる。だけど、水はぼたぼたと止めどなく吉野くんの髪から落ちてる。
『ねぇ、吉野くん。保健室でタオル借りよう?』
北「大丈夫、こんなのすぐ乾くよ。」
そう言って吉野くんは笑うけど、私はぶんぶんと首を振って、吉野くんの手を引いて保健室に向かった。
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作者名:MINT | 作成日時:2020年2月15日 1時