44話 ページ46
「 え、あ…、ヤスミに少年、どうしたの？
まだタイークサイ終わってないんじゃ？」
「 そうなんだけど、ほら、私応援団だったから、衣装くらいは見てもらおうと思って？」
何でここに？と言いたげな彼にくすくすとからかう様な笑みを浮かべながらそう答えれば「 似合ってるんじゃない？」と言われ、少し照れてしまった。
私は花子くんに衣装を見せた事だし、1つ個室を借りて運動着に着替えようとすれば、光くんは顔を真っ赤にして花子くんとそっぽ向いてくれた。
着替え終わり、お昼ご飯を食べようと促せば、光くんは何かを思い出したかのような表情になり、顔を青くさせながらトイレを出て行ってしまった。
残された私たちはポカンと固まり、とりあえず人目につかない階段まで花子くんに案内してもらい、そこで昼食を摂ることにした。
「 ねえ、ヤスミ…、ヤシロは…どうだった？
楽しんでた？」
ふと花子くんがそう口にした時、空気が少し重くなるのを感じた。
何故そんなことを聞くのだろうと疑問を抱く前に、今あなたの隣にいるのは私なのに。と汚い感情が出てきてしまった。
今息を吐いてしまえば恐らくその言葉がポロッと漏れてしまいそうで怖くて、しばらく呼吸が出来なくなった。
「 どうって…、そりゃ楽しみにしてたし、普通に楽しんでたよ？
どうしたの、そんなこと聞いて 」
「 いや、何でもないよ
強いて言うならヤシロがまだここに来ている時にタイークサイについて少し不満を言ってたからさ
それで聞いてみただけ、特に深い意味はないよ 」
そう言う彼の顔は恋をした人の横顔だった。
私には楽しんでる？なんて言葉もなければ、衣装の感想だって聞いてなきゃ答えてくれなかっただろう。
この人にこんなに愛されてるあの子が羨ましい、嫉妬なんて醜すぎて嫌になる。
その後の食事は当たり障りのない会話をして、応援団だから皆を整列させなきゃいけないと理由をつけて足早にそこを去った。
別に嘘じゃない、本当の事だ。
少しだけ早めにグラウンドに戻ったのは私の気分だと自分にも言い訳をして、深呼吸すると同時に自分のこの感情に蓋を閉めた。
「 Aちゃん！
どこ行ってたの？お昼一緒に食べようと思ってたのにー！」
先にグラウンドについていた寧々ちゃんとアオちゃんに適当な理由をつけてその場をやり過ごした。
その後はどうも集中できなくて、ぼーっとする事が多かったが、幸いにもその事は誰にも気づかれなかった。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます！ (2020年8月21日 18時) (
レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです！更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人参ぱんつ | 作成日時：2020年4月22日 1時
