検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:9,012 hit

5話 進捗と子供 ページ6

風見さんが僕のことを依頼してから数日。時々、毛利さんと連絡を取りあっているみたいだが、僕にその内容を教えてくれなかった。積極的に聞かなかったからかもしれない。

「進捗とか気にならないのか?」

だからこんなことを聞かれるのだ。

「それとも思い出したくない記憶があるとか」

『そんなの……』

ない、とは言えないか。思い返すだけで、息が詰まり、死んでしまいたくなる記憶だってあるわけだし。

『いや、聞いて良いものなのかと思ってしまって』

「当たり前だろう。依頼は俺が出したが、実質の依頼主はお前だ」

『……なら、どこまで調べたのかとか聞いても?』




風見さんは嬉々として封筒を持ってきて、中の資料1枚ずつ説明してくれた。僕も聞かなかっただけで興味はあったから、前のめりとまではいかずともしっかり説明に耳を傾けた。

『僕が倒れてたところ周辺から暴力団関係まで……毛利さん凄いなぁ』

「結果はどれも空振りらしいがな」

『それでもですよ。
それで、この子供がトリガーかもってのは?』

「書いてある通りの意味だ。子供と交流していればなにか思い出すかも、と言っていた。そんなわけで明日、毛利さんところの江戸川君と遊んでこい」

『え?』

あまりに唐突なそれに間抜けな声を漏らせば、驚いた顔は初めてだな、なんて笑われてしまった。

『風見さんは?』

「仕事だ」

簡潔に素早く返された。

子供と遊ぶ、なんて初体験を前に怖じ気づいてしまい、やっぱり外は不安か?なんて気遣われる始末。


子供、苦手なんだよなぁ。


「江戸川君が友達と公園で遊ぶのを見守るだけだ。そう不安がることもない。それに、本当に無理なら断りの連絡をいれる」

どうする?
そう聞かれれば、言葉を積み重ねられれば、断るにも断れないじゃないか。親切をむげに返すなんてことも、お世話になっている以上できっこない。

『何かあった時のヘルプは毛利さんに頼みますよ。江戸川君も大人びていたし。うん、大丈夫』



自信満々とまではいかずとも、不安な顔は出さず答えたはいいが……。

「兄ちゃん、好きな食べ物とかあるか!?」

「あ!色とかでも良いですよ!」

「動物はどう!?」

『特別好きなものはないかなぁ。
うん、元気だね』

コナン君を含む5人(彼ら曰く少年探偵団)とポアロ前で合流し、紹介しあってから10分程、際限ない質問責めにあっている。


すでに心が折れそう。

6話 サッカーをしよう→←4話 世界



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (24 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
88人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鮟鱇 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年10月6日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。