集会 ページ16
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万次郎が連れてきた男の中に知ってる人が居た。
『タカちゃんじゃん。』
「Aじゃん。」
「え〜何〜2人とも知り合い?」
と万次郎に聞かれた。
『中学同じだっただけ』
「Aは変わんないね〜」
『そう?タカちゃんが変わっただけじゃん』
わたしとタカちゃんが話してる間、万次郎はつまんなさそうな顔をしてた。
「なんで俺抜きで話盛り上がっちゃってんの。」
「A紹介する、これが東卍のみんなだ。」
と、一人一人紹介してくれた。
『あー、アンタら東卍だったんだ。』
東卍とは東京卍會の略であり、中高の人で知らない人はほぼ居ないだろう。
顔は知らなくとも、名前は聞いたことある人が大半だろう。
「オマエ知らなかったのかよ」
と、ケンチンに言われた。
『まぁ大体想像はついたけどね。』
「ていうか、AがAだった事に驚きだわ。マイキーから聞いてた話と全然違う」
とタカちゃんに言われた。
『え、なんて言ってたの?』
「雨の日に傘もささないずぶ濡れの眉毛のない女拾ったって」
と、ケンチンに言われた。
『アンタ、眉毛ないとかみんなに言ってたわけ?』
「今日は眉毛あるな!」
『そりゃメイクしてるからね。つか、傘あったらずぶ濡れになってないし、傘さしてるわ。』
ほんと、この男は。
わたしの顔見るなりゲラゲラ笑ってる。
『あー、今日親の店手伝わないといけないしそろそろ帰るわ。じゃあね。』
「送ってく」
と、万次郎に言われたので店まで送って貰った。
降ろしてもらったのはキャバやスナック等の水商売の店がずらりと並んでるとこだ。
「お店ってこの辺?」
『あー、うん。』
「水商売でもしてんの?」
『母親がね。給料貰ってないし忙しい時だけ手伝ってるだけだけど。』
遅れるからもう行く、とだけ伝えお店へ向かう。
途中で振り返り、
『今日は楽しかった。ありがとう。』
と、伝えまた歩き出す。
振り返った時の万次郎の顔は何か言いたげな寂しそうな顔をしていた。
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作者名:もあ | 作成日時:2021年6月9日 12時