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「いいから乗れよ」
アンタねぇ！いい加減にしてよ！と睨みつけようとしたら、男の真剣な顔にどこか寂しげな瞳をみると、何も言えなくなった。
『わかったよ、乗るよ。』
ん、とヘルメットを渡された。
『アンタ、ヘルメット付けてないじゃん』
「俺はいいの。オマエはいいから付けとけ」
ヘルメットを付け、後ろに乗る。
「ちゃんと掴まって。」
と、わたしの腕を引っ張り自分の腰に巻き付ける。
男の腰に手を回し、しっかりとしがみつく。
男の香水の香りに包まれる。
「オマエん家ここから近いの？俺ん家すぐそこだから、風邪引くしシャワー浴びて服も乾かして行きなよ。」
もう何でもいい、と思い適当に返事をする。
バイクで走り出した男はそのまま男の家に向かった。
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作者名：もあ | 作成日時：2021年6月9日 12時
