"自称" 陰キャは愛されたい

お邪魔します ページ21

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最悪だ。

放課後。私は1人、昇降口から空を見上げる。5限目辺りからどんよりと分厚いグレーの雲が空を覆い始めて、嫌な予感はしつつまぁ大丈夫だろうと高を括っていた。降水確率も50%以下だったし。

それなのに。それなのに今、空からは大粒の雨がザーザーと降っていて。なんなら遠くで雷もゴロゴロ鳴いている。

校長室前の貸し出し用の傘を借りようとしたのに、予報外れの雨だったのはみんな同じで傘立てはスッカラカン。誰かの傘に一緒に入れてもらおうと友達を探すも、見事にみんな部活に行っちゃってて。

もう二度と天気予報なんて当てにするもんか。空を思いっきり睨みつけて心に誓った。

雨は止みそうにないし、てかむしろ強くなってく一方みたいだし。……全力ダッシュするしかない。

スクバを傘代わりにして地面を強く蹴り出した。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



『……やばい、』


運動音痴の私。雨でぬかるんだ道を見事に走り抜き、駅まで辿り着いた。のは、いいんだけど。スクバでは流石にこの大雨を凌げるはずはなく、普通に身体はびしょ濡れ。髪は搾ったら水滴落ちてくるレベル。

持っていたハンカチで必死に制服や髪を拭いていると、ブルっと身震いする。……寒くて死にそう。


『も〜〜ビショビショじゃんやだ、』


通行人にチラチラ見られて泣きそうになりながら必死に手を動かしていると。


「……A？」


声が聞こえて振り向くと、そこには怪訝な顔で私を見る伊東の姿が。どうしていつも、ピンチの時に現れるのはこの男なんだろう。



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