とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ8)

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「あんなぁ･････、俺がそれで嬉しい！って、純粋に喜ぶと思っとんの？」
「私は君の調査をする為に最善のことをしているだけだ。君がどう感じようが、君は私に暖かな言葉をかけてほしいんだろう？」
「そりゃ、かけてほしないって言ったら嘘にはなるけど･････」

ならいいじゃないか、と思う。彼が何を望んでいるのか、皆目検討がつかない。

「先生の心からの言葉がええんや。誰かに言われた言葉やなくて」
「心からの、言葉？」

ぱちくりと目を瞬かせる私に対して、彼は強く頷く。

「先生の言葉やないと僕、満足できひん」

熱っぽい視線が、嫌でたまらない。

「仮面を未だにかぶる君には、到底言えないかなぁ」
「治せへんのわかってて言うとるやろ、それ。ほんま先生って性格悪いわァ」
「本心をさらけ出さない人に言いたくないってだけだ」

上辺だけの笑顔を浮かべて私たちは笑う。両者とも、そこに心は無い。

「なぁ先生」

不意に真剣味を帯びた彼の声が私の耳に届く。

「俺はな、絶対に先生に嫌われたくないんや。それこそ、嫌われたら死ぬで」
「君は死ねない。それは絶対事項だ」

無表情のまま私が断言すると、彼は拗ねたような顔をした。

「ほんま、先生の感情は読み取れへんな」
「おや、私はそんなに読みにくいかい？」
「その言い方、自分で気づいて言っとるやろ。あーあ、性格が悪い悪い」

わざとらしい大声を上げて呆れる彼に、私はくすくすと笑う。

「･････先生、笑った？」

彼がそろそろと言う。

「あぁ、笑ったよ」

私がそう言うと彼はすぐにパッと笑う。

「先生の心からの笑顔やん････！先生、俺以外に見せたら俺がどうなるかわかってるやろ？」
「だからできないって言ってるだろう？」

彼は度々こういうお願いをする。できる訳が無いというのに。

「でも、先生しようとしてくれるやん」

こちらを見透かすように瑠璃の瞳が私の姿を映す。

「さぁ。それはどうだかね」

わざと曖昧な返事をして、私は彼の部屋を離れる。

「先生」

声がかかる。

「俺は、ずうーっと見てんで」

ゾッとするほど妖艶な視線が、彼からは逃れられないことを示唆していた。

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束縛型
縛り付ける為ならなんだってする