とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ16)

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「も〜、どっか行っちゃったんじゃないかって心配してたんだからね？」
「私は君に心配されるような子供ではないのだが」
「どっか違うとこ行ってたら、先生死んじゃうんだよ？何事にも、順番ってものがあるからねぇ」

怪しい笑みを浮かべる彼は、私に少しずつ近寄る。私の足は自然と後退りを始める。

「でも安心して！俺のとこに来てくれるなら、生を保証するよ？」
「っ･････生を取るか自由を取るか、か」
「そ。賢い先生ならわかるでしょ？」

生きるには自由を、自由には生をそれぞれ欲する。とどのつまり、どちらかが崩れれば自然ともう片方も崩れる。救われる方法などあるはずもなく、また賢い、と皮肉られたのが私の苛立ちを助長させた。

「なら、私は自由を取るよ」
「････････は？」

コンタミから、今まで聞いたことの無い声が聞こえた。

「ま、待って？だって死んじゃうんだよ？生きたくないの？」
「私がいつ生を手放すと言った？」
「え、で、でも････」

狼狽える彼をちらりと見やってから、私は一つ息をつく。

「自由を得るには生が必須だ。自由を得るなら生があることは前提条件」
「それ、ただの詭弁でしょ･････」
「詭弁？私にとっては道理の通った理屈だ」

呆れたように呟く彼を無視し、私はくるりと踵を返す。

「ちょっと〜！きょーさんもコンちゃんも、俺が一番場所特定できないの知ってるよねえ！」

なぜこうもタイミングが悪いのだろう。

「レウクラウド･････」
「そうそう。先生はすぐ消えちゃうし」

非難するようにちらりと赤い目がこちらを見る。