とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ11)

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▶︎閑話休題・5 ページ11

真っ白なLEDを眺めながら重い息を吐く。この胸に渦巻く不安や恐怖、それらとは対照的な好奇心などを一体どうしろと言うのだろうか。

「･････長く調査した先に、何が待っているというんだ。末端は知る権利すら無いと理解しているが、目標も何も無い中で頑張れるはずがない」

せめて私の出自だけでも、と願えば願うほど上はわかっているかのように焦らし、結局与えない。これではまるで目の前で餌を下げられた馬だ。労働力だけ搾取されている。

「でも、あの崩壊した街は知っている。知らないはずなのに、知ってるんだ」

プリントアウトされた写真を手に取り、じっと見つめる。思い出せそうで思い出せない。頭に靄がかかる。近づこうとすればするほど離れていくそれを、私は私自身がそれを知ることを恐れているのではないのかと思った。

「こんなに考えさせられたって気が狂うだけだ。正解の無い問いはあまりに無謀すぎる。心が壊れてしまう」

それこそ、誰かと会話でもしなければ。彼らのことはどうでもいい。ただ死なないようにするだけ。生かすだけ。そう思っていたのに、そんな存在に縋りつつある自分を私は自然と嘲笑っていた。

「ははっ、私が縋る？あぁ、馬鹿だ。愚かだ。彼らに縋るぐらいなら抱え込んだ方がマシだ。それで心が崩壊しそうでも」

下らなくて、しばらくの間笑っていたが、それはやがて乾いた笑い声へと変わっていく。人は一度不安を感じると、そこから抜け出せなくなってしまう。私は自身を腕で抱えながらぽつりと呟く。

「だれか、私におしえてくれないか･････？」

アイデンティティが拡散された状態で、私は誰にも助けを求められない。多分それは、私が全てを閉ざしているからだろう。そして、これから先もこの不安からはきっと、逃れられない。私が心を開くか、諦めを認めない限り。

「＿＿＿＿＿神がいるなら、私を救ってくれ」

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本格的な受験期に入っているので、上げるスピードが極端に落ちると思います
読んでくださる方々、とても感謝します