告白 ページ20
ym side
トイレの扉を開いた瞬間目に入ったのは 涙を流している伊野尾ちゃんと、見るからに伊野尾ちゃんを襲おうとしている男子生徒。
目の前に広がる光景にふつふつと怒りが込み上がり、今にも殴ってやりたかったけど 、伊野尾ちゃんにそんな場を見せたくもなくて思い留まった結果 逃げられてしまった。
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力無くその場に崩れ落ちそうになる彼の身体を支えるように抱き締めると 、一層強まった甘い香り。
『やまだ、俺に近寄らないで…、発 情、してるから、っ』
『おれ、やまだを…、苦しめたくないよ…、』
そう言う伊野尾ちゃんから溢れ出るΩの発 情フェロモンは今まで嗅いできた匂いと全然違う。濃くて、熱くて、理性なんてものを簡単に崩していくような…
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『… おれは、きらいじゃないよ、山田のこと、』
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そんな、今にも泣き出しそうな顔で、潤んだ瞳で見つめてくる姿が可愛くて。彼の紅潮した頬に掌を添えると、その柔らかい唇に自身の唇を重ねた。
『ん…、』
発 情している伊野尾ちゃんは、もっと、というように舌を絡めてくる。互いの舌が絡まり合う水音を響かせながら それはどんどん深くなっていき、此方の理性を保つのも難しくて。でも、このまま流れで抱くようなことはしたくなかった。気持ちも、まだ伝えてないのに。
制止するように彼の両肩を軽く押して身体を離す。
「…、伊野尾ちゃん、ストップ、」
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『やまだ…、ごめん、』
なんで?なんで、謝んの?
『… 俺、求めちゃって 、』
伊野尾ちゃんの瞳からは大粒の涙が幾つも溢れ落ちていく。
そんな辛そうな顔、しないでよ 。
この会えなかった数日間で、君の存在が特別なものだって改めて思った。きっかけは ”運命の番だ”って本能が目覚めたことだったけど、今は君を心から求めていて、守りたくて。
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「伊野尾ちゃん、俺は 伊野尾ちゃんが好きだ」
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作者名:猫 | 作成日時:2023年3月1日 20時