抑えられない気持ち ページ18
in side
「伊野尾先輩、暴れないでくださいね？間違って首筋噛むかもしれませんよ。」
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大ちゃんと一緒に学校を出ようとした時、スマホを机の引き出しに入れたままだったことを思い出して教室に取りに行った帰り。階段を下りる途中で 2人きりで話がしたい、なんて知らない他学年の子に言われて グイグイと手を引かれるがまま連れてこられたのは2階の廊下奥のトイレで。
その場でも話は出来るし、簡単について行かなければ良かったのに、馬鹿だな、俺。
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「先輩のこと、ずっと狙ってたんすよ。」
『え？何言って、…っ！』
グイッと腕を引き寄せられ一気に距離が詰まると共に、凄まじい勢いで放出されるαのフェロモン。首筋の抑制シートのお陰で耐えられたものの、Ωにとってαのフェロモンは強力で 、身体の力が少しだけ抜けるのを感じる。
手を振りほどこうとしても 体格のいいαには敵わない。
「なんだ、抑制シート貼ってんのかよ、つまんねえ」
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隙を見て逃げようと彼に背を向け、出入口に向かおうとしたけど、上手くいくはずもない。
背後から口を掌で覆われると同時に口内に何か錠剤のようなものが入ってきて、反射的に飲み込んでしまった後に悔やんでも遅かった。
ドクンッと大きく心臓が鳴る。そのまま鼓動は段々と早くなり、身体も火照っていく。立っていることもままならず、壁に凭れながら なんとか体勢を保っていた。
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なんだよこれ 、
… もしかして 、ヒート誘発剤、？
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「助けを呼んでも誰も来ませんよ。トイレの外に掃除中の看板立てといたんで。」
「ヤりづらいから向こう向いてもらえません？」
乱暴に肩と後ろ首を掴まれ、トイレの蓋に両手をつかされると、背後でカチャカチャとベルトを外す音が聞こえ 、そのまま俺の制服にも手が伸びてきて。
このまま見ず知らずのαに、欲望のままに、無理やり犯 されるしかないのか、と一気に絶望感に包まれる。
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＿＿＿＿ どうして 、こんな目に遭わないといけないんだ
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最早 生まれたことが間違いだったのかな
オメガなんて、自分なんて、嫌いだ
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君はオメガにトラウマがあるんだよね？
だから、会わないように、関わらないようにした
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君のことを求めてしまったら 、
愛されたいなんて思ってしまったら、
俺のせいで君を苦しめちゃうでしょ？
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分かってる、分かってるはずなのに＿＿＿＿
『…たすけて、山田、』
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作者名：猫 | 作成日時：2023年3月1日 20時
