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玄関のドアの鍵がかかっていなかった。

その時点でおかしかった。

一通り見て寝室を覗くとベッドの布団が盛り上がっていた。

とりあえずスーツを着替えよう。

ベッドのそばでネクタイを外していると、布団から顔を出したひろと目が合う。

「ただいま」

「お…かえり。仕事…は?」

邪魔したと思ってるのか仕事ばかり気にする。

「終わらせてきたから大丈夫」

着替えてベッドに近づく。

顔が赤い。

額に手を当てて熱を測る。

「ひろ、熱があるね?風邪でもひいた?」

「風邪じゃない…俺は、もうすぐ、死ぬからっ」

「え?」

死ぬ…?

「たい…俺、死にたくない。死にたくないぃ…っ」

「ひろ、落ち着いて」

ギュッと抱き寄せると、その体はひどく震えていた。

「何があったのか話して?」

仕事帰りに起きた事を聞かされた。

あのヤロー、まだひろを諦めてなかったらしい。

「店に出禁にしたからって、外で待ち伏せしてたのか……」

「血が、いっぱい出て…っ、あんなの、見たことないっ!きっと死んじゃう…っ」

死んでしまうと怯えるひろ。

さっきの電話…きっと死ぬことを覚悟して、俺に『会いたい』って言ったのか。

「ひろは死なないよ」

「でも…っ」

「絶対、死なせないから」

「たい…っ」

「傷、見てもいい?薬も塗りたいから」

「ん…」

下を脱いで股を開くひろ。

「触るよ?」

両膝を胸に付くくらいに腰を持ち上げ、傷を見た。

まだ少し血が滲んでる。

「…ひろ。薬取ってくるから待ってて?」

救急箱の中に傷薬があったはず。

リビングに置いてある救急箱の中からそれを持って寝室へと戻る。

「血…出てる?」

ひろが聞いてくる。

「ん?大丈夫だよ」

さっきと同じ格好をさせてクリーム状の薬を指で掬った。

後ろに塗ると冷たいのかひろの腰が浮く。

「冷たい?」

「大丈、夫」

「指、入れるね」

「痛…いっ」

ひろが顔を歪める。

「力抜いて。ひろ」

「…ぅんっ」

ゆっくりと時間をかけて中に入れる。

奥まで入れた時、まだ残ってるソレに触れた。

手が止まる。

「たい?」

ひろに呼ばれる。

引き出しからタオルを取り出して腰とシーツの間に敷いた。

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まほまま(プロフ) - 次は愛の実に決まったんだね。イチャイチャも読みたいけど、アイツとの決着もまだ着いてないもんね。 (2018年4月29日 22時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)
kmf2kkrtmm(プロフ) - まほままさん» ここも癖が出とる〜っ!!あ、次は移行します〜。タイトルは「愛の実」!!「恋の実」じゃないから〜( *´艸`)恋はもうしてますからたくさんの愛を注いでもらいましょう…という意味で愛の実に決定しました〜。見つけた際にはお待ちしてます〜♪ (2018年4月29日 6時) (レス) id: 0bbb450268 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - ここもクセが出とるわ(笑)てか笑えなーい!読んでて涙出たわ!ひろは死ぬかもしれない恐怖の中でたいに電話をかけた…。たいはわかってしまったよね、あの血の量を見たら…たいの気持ち考えたら涙出た…。 (2018年4月28日 22時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)
まほまま(プロフ) - ドアに鍵がかかってなかった…。それだけでひろの異変に気付くたい。かなり深い愛だよね。たいには腹わた煮えくり返っていてほしい。だってひろにあんなに酷い事したんだもん。でないと私の腹わたがおさまらない!メッセージ、いつでもカモンよ〜(*´艸`) (2018年4月27日 22時) (レス) id: de2262a235 (このIDを非表示/違反報告)
kmf2kkrtmm(プロフ) - まほままさん» 腹の中は煮えくり返ってるでしょうね〜。でも、ひろに対しては純粋に自分の指に感じてくれてるのは嬉しいと思っております。成敗の方法…ちょっと、メッセージで送ってもいい? (2018年4月27日 7時) (レス) id: 0bbb450268 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ともみ | 作成日時:2018年3月21日 6時

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