恋の実 -藤北-

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「ひろ、どうしたの？大丈夫？」

しゃがんで背中をさすってくれるたい。

「最近、体調悪いの？ご飯もあんまり食べないし…」

大丈夫…まだ、捨てられない。

隠せば…ずっとこのまま、そばにいられる。たいのそばに…。

「仕事の、疲れ…かな。商品もネット注文も、増えてきたし…」

「ちゃんと休んでる？ここ最近は忙しくて店に行けてないけど…」

そう。仕事が忙しくて店に顔を出してくれる回数も、前と比べて減った。

今は、店で会えない方がいい。

「病院、行く？」

「大丈夫。明日は休みだから…一日大人しく寝てる」

「俺が仕事休めればいいんだけど…」

「たいは、仕事優先して」

「もう、平気？吐き気治まった？」

「うん」


水を流して洗面で口を漱いで寝室へと戻った。


〜太輔Ｓｉｄｅ〜

最近、ひろの様子がおかしい。

夢にうなされる回数が減ってきたからもう大丈夫だと思ってたのに、今は現実の生活を送る方がしん

どそうな顔をする瞬間がある。

枕よりも俺に抱きついてくれるのは嬉しいけど、素直に喜べない。

何か…おかしい。

そう思った矢先、ひろが夜中に飛び起きた。

掴んだ手を振りほどかれ部屋を出るひろを追いかけた。

トイレで吐いているひろの隣にしゃがんで背中をさする。

理由を聞いても、仕事の疲れからだと言う。

体調の悪いひろを置いて、なんで仕事に行かなきゃいけないんだ。

それが、顔に出たのかひろが俺の頬を両手で引っ張った。

「声聞きたくなったら、電話する。ちゃんと寝てるから。仕事、頑張って」

「いつでもかけてくれていいから」

「うん」

キスした時、ひろの体が少し震える。

今まではそんなことなかった。

…怯えてる？何に？

「行ってくる」

「いってらっしゃい」


この日の昼に店に顔を出した。

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