姫に手出すな -北藤-

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『取り除く、とは…番組のキャストから降りるという事ですか？』

「はい」

『それでいいんですか？せっかく頂いた仕事なのに…』

「仕事は生きてく為に必要なものだけど、それはたいが笑ってくれないとやっても意味がないですか

ら。あいつを泣かせてまでしがみつく仕事ではないです。

生意気な事言いましたけど、俺みたいなヤツはたくさんいます。代わりは誰でもいる。でも、たいの

代わりはいませんから。考えるまでもないです」

『すごいですね…北山さんの思いは』

「たいを強く想う気持ちは誰にも負けません。俺の姫を傷つける奴は、許さない……それで、巽さん

にもう一つ、調べてほしいことがあるんですけど」

『何でしょう？』

「堂島隆二プローデューサーに付いてるスポンサーの方の名前を…」

『調べましたよ。聞かれると思ったので』

「仕事が早いですね。巽さん」

『いやぁ、褒めても調子に乗るだけなので、やめてください(笑)。それで…調べた結果、飯島さん、

田辺さん、吉原さん、山科さん…この方達は皆、社長が知ってる方です」

「…社長に、会えるように時間聞いてみてくれませんか？できれば、午後の仕事前に会えれば…」

『すぐ、手配して折り返します』

それから数分後、巽さんから社長と会う時間を指定された。

１１時。仕事前に社長と会うことになった。

何を話すかって？

周りを固めて、動かなくするんだよ。

親子一緒に、地獄に突き落としてやる。身動き取れなくなって泣いても、俺は許さない。

たいに手を出したことを後悔させてやる。

社長に会って、たいが堂島麻衣に脅されていること、俺の出ている番組のプロデューサーが父親だと

いうこと…娘のやり放題を黙認して裏でもみ消していること全て話した。

「社長。無理を承知でお願いします。堂島さんに付いてるスポンサーの方に頼んで頂けませんか？堂

島さんから手を引いてくれと…」

「僕に頼むということは、相手に容赦ないよ。まあ、藤ヶ谷の為だ。人のモノに手を出したらどうな

るか…自分の人生を取るか、娘をかばうか、見ものだな…北山」

「はい」

「スポンサーには僕から電話して堂島から手を引くように伝える。娘のことは…好きにすればいい。

ただし、相手は女だ。手は出すな。面倒になる」

「分かってます」

頭を下げて事務所を後にした。

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