ちびと姫 -北藤- (ページ21)

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頬を膨らませて拗ねる姫。

「続きも…シて？途中でやめちゃ、やだ」

「俺は、いつも最後までやるつもりで触ってるよ。いつだってどこだって、本気でそう思ってる」

「何の自慢、それ(笑)」

「俺の性欲の問題」

そうこうしてるうちに密室の観覧車での時間は終わり。

下に着くとドアを開けてくれる店員のお姉さん。

「お幸せに」

その言葉に姫が立ち止まる。

「幸せに…なっても、いいんですか？」

そう、震える声で店員さんに聞く姫。

「皆、幸せになるために生まれてきたんですから、好きな人と一緒にいていいんです。それが、同性

のお相手でも。大事な人に変わりはありませんから」

ステキな言葉を姫に言ってくれる人だな…。

「お幸せに」

もう一度言われたたいは、深く頭を下げた。

「幸せになりますっ！！」

「楽しい時間をありがとうございました」

お礼を言って、出口に向かって歩き出す。

今度こそ、手を離さない。

夜はまた違う景色が見れるんだろうけど、仕事があるから今日はもう、お開き。

ちょうど１台だけ止まっていたタクシーに乗って、住所を告げて、たいの手を握る。

「さっきの店員さん…俺達のこと、普通にお祝いしてくれたね」

「そうだな」

「すごく…優しい人だった」

「幸せになろうな」

姫の目を見て、伝える。

「迷子になって焦ったけど、ちゃんと見つけられてよかった。観覧車に乗れて、ジンクスを叶えられ

てよかったな」

「…うん」

「ゾンビの手握った思い出は嫌だろうけど…また、来ような。メンバーと一緒に」

「うん。ニカをお化け屋敷に放り込んでやるっ。あいつの悲鳴が聴きたいっ」

「ニカを放り込むのは絶叫マシーンだろ？」

「そうだったっ！ニカの悲鳴聞いて、それからスマホで写真撮ってニカにプレゼントするっ」

楽しそうに話す姫。

メンバーのことで頭いっぱいなのも、今のうちだぞ。

帰ったら…気のすむまで抱かせてもらう。

疲れてウトウトし始めた姫の体を横にさせて、俺の膝の上に乗せる。

頭を撫でていると、姫は眠ってしまった。

俺もつられて欠伸をする。

「着いたら、起こしますので眠ってていいですよ」

運転手のおじいちゃんがミラー越しに言ってくれるので素直に甘えることにした。

「じゃあ、よろしくお願いします」

俺も目を閉じて、夢の中に意識を沈めた…。