キス限定 -藤北-

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廊下を歩いてリビングに行くと。

テーブルに並んだ肉野菜炒めと味噌汁。

焼きサバと…昨日買ったキャラメルプリン。

グゥ〜。

おなかが鳴った。

「ご飯食べて、元気出して？」

そう言って、藤ヶ谷が向かい側に座る。

「いただきます」

手を合わせて、肉野菜炒めを食べた。

「…美味ぁっ(´∀｀)」

「なんか、お肉美味しそうに食べてくれそうだから、俺のイメージで作ってみた。ほんとに頬膨らま

せて食べてくれるから、イメージしてた通りだね( *´艸｀)でも〜」

キャラメルプリンをを手に取った藤ヶ谷。

「これは、ちょっと意外だったな」

「…元カレが、いつも作ってくれた味に、似てるから…」

「どうして…？俺、北山のこと知らないのに…」

「俺は知ってるよ」

「…え？」

「渉は、俺の友達」

「…え…でも、だったら会ってるはず…」

「北山、渉しか見てなかったからねｗｗ」

「そう…だけど。じゃあ…俺を連れて来たのは…」

「確信犯。わたに振られた北山を慰めて…あわよくば好きになってくれないかなって…淡い期待を抱

いてる(笑)」

「…俺、男だよ？」

「うん。俺もｗ」

「藤ヶ谷は…女の子が好き？」

「北山が好き」

ストレートな言葉。

もう出ないと思っていた涙が溢れる。

「昨日…いっぱい泣いたのにな…っ」

胸の痛みも涙も引いてくれない。

止まってくれない。


カタッ。


音がして顔を上げると、北山がいない。

「北山」

すぐそばで声がして隣を見た。

「どうし…んんっ」

藤ヶ谷のドアップの顔。

唇に触れる柔らかい感触。

「甘いもんばっか食ってるから、涙も甘いね(￣▽￣)♪」

藤ヶ谷がニヤリと笑う。

涙は…。

「しょっぱいの間違いだろ…それに、なんでキスす…んぅっ」

また、触れるキス。

胸を押し返す。

「涙が止まるまでするよ」

涙が…止まる、まで？

止まらなかったら…？

ずっと…キスしてくれる？

そばにいてくれる？

触れるだけの…優しいKiss。

「…慰めて、くれるの？」

「北山が泣き止むまで、慰めのキス、してあげる」

優しく降ってくるキス。

「ちゅ…俺を見て」

「ん…っ…藤ヶ谷は…俺だけ見てくれる…？」

キスが止んで、目が合う。

「北山だけ見てる」

「女の子がいいとか…結婚とか、子供とか…言わないっ？」

「そういうのいらない。俺は北山と一緒にいたいの」

「藤ヶ谷…」



(身近に落ちていた恋は…すぐそばに)

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