キス限定 -藤北-

強がる子リスとキス。　※ノンリアル ページ5

〜太輔Ｓｉｄｅ〜

俺、藤ヶ谷 太輔。高校に通う２年。

いつもは自転車なんだけど、寝坊で電車で通うようになってから早２か月。

季節は６月も終わり頃。

いつからか…朝の電車で会う彼。

そう…男。

俺と同じｗｗ

すごく…気になってるんだ。

いつも、俯いて、俺より背が小さくて、さらに体を縮めて立っている。

眼鏡をかけてる遠目から見ても可愛いな顔立ち。

俺と同じ制服。

でも、２年じゃない。

ドアが開くと、いつも一番に降りて走っていく。

目が合うわけでも、話すわけでもない。

ただ、遠目から見てるだけ。

俺も降りて、改札口を通る。

トイレに行こうと足を向けたら、ニヤついた笑みを浮かべて出てくるスーツの男。

何だ、あれ…。

キモイんだけど。

中に入ると、すすり泣く声が聞こえてきた。

誰かいるのか？

個室のドアは全開。

「あの〜、大丈、夫……」

個室を覗いて、声が続かなかった。

乱れた俺と同じ制服の…彼が、泣いていた。

「…どうしたの？」

声が震える。

ポロポロと眼鏡越しに見える涙。

「…大丈夫っ！慣れてますからっ」

俺の横をすり抜けて、彼は出て行った。


学校に行って、２年の教室、３年の教室を覗いたけど、彼はいなかった。

授業中も、あの涙が泣き声が脳裏から、耳から離れない。


また、明日会えるかな。

そしたら、聞いてみよう。


次の日。

電車に乗っていると、彼が乗ってきた。

今年の新入生か…。

よく見ると、ネクタイは赤だった。

１年は赤。

２年は青。

３年は緑のネクタイで学年ごとに色が違う。


ふと…彼の後ろに、昨日のスーツの男が立った。

痴漢かよ…。

スマホを持って、そっと近づいた。

行為に夢中の男は、俺に気づかない。

カメラモードにして、そっとその瞬間を撮った。

目的の駅で彼が下りると、スーツの男も後を追う。

確信犯だ。

相手を彼に絞ってやってる。

変態野郎が(#^ω^)

俺も後を追いかける。

途中、男に手を掴まれ、例のトイレに連れ込む。

２人が個室に入って、鍵をかける。

俺は、隣に入って、便座の蓋の上に乗って、スマホを構えた。

「嫌…っ！」

抵抗する彼のネクタイに手をかけて外し、シャツの中に手を入れる様を、彼の顔が映らないようにし

て撮影＆連写にして証拠を押さえた。

「いい大人が何してんの。この変態オヤジ」

俺の声に、男と目が合う。

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す