キス限定 -藤北-

ドＳなキス ページ32

〜宏光Ｓｉｄｅ〜

只今、バラエティー番組の収録中。

いつもの光景、いつもの景色、いつもの時間に仕事が終わった。

「お疲れさまで〜す♪」

いつものようにすれ違うスタッフさんに挨拶してスタジオを出た。

今日の仕事はこれで終わり。

後は、マネージャーに家まで送ってもらうだけ。

明日はオフだし。

ゆっくりできる( *´艸｀)

たい、もう帰ってるかな？

電話してみようかな？

たいのことばかり考えてたから…後ろからついて来てるスタッフさんに気づかなかった。


スキップしながら歩いていると、もうすぐ楽屋…ってところで。

「おわっ！」

グンッ！

って腕を掴まれて、尚且つ振り向かされてちょっと目眩がした。

「…っ、あれ？竹内さん？」

ＡＤ(アシスタントディレクター)の竹内さん。

カメラの前でカチンコと秒数をカウントしてくれる人だ。

「え…？どうされました？」

「…可愛い唇」

…はい？

「頂きます♪」

掴まれていた腕を引き寄せられて、そのまま…キス。

されていた。

何が起こってるの？

俺にキスしてるのは…たい、じゃない。

「…んっ、ん〜…っっ」

胸を押し返そうとしても、ビクともしない。

なんで…？(´;ω;｀)

たいとキスしてる時、胸を押すとすぐに離れてくれるのに。

俺が嫌がることをしない。

いつだってそう。

たいと竹内さんは心境も体格も同じくらい。

相手が本気を出せば、小さい俺は、敵わない。

目を開けると、相手はたいじゃなくて…。

涙が溢れる。


気持ち悪い。

怖い…。


「何してるの？」

グイッ！

腕を引っ張られて、竹内さんから離れることが出来た。

甘い…香水の匂い。

いつもの匂いに包まれて…しがみつく。

「……っ、藤ヶ谷っ(´;ω;｀)」

「大丈夫？北山」

「……ｺｸｯ」

「怖かったね…ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ」

…(´▽｀) ホッ

たいが、俺を抱きしめたまま竹内さんを見据えた。

「…北山に、何してくれるんですか。この可愛くて柔らかい唇は俺の…ポカッ。

最後まで言わせずに胸を叩いた。

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