キス限定 -藤北-

＊ ページ23

「北山は…好きな子、いるの？」

「…いるよ」

いるんだ…。

「どんな子？可愛い？」

北山より身長小っちゃい？

「…かっこいい、です。俺が好きなのは…男だから」

「……え」

「先生…引いた？」

「大丈夫だよ。引いたりしない。恋愛は自由だしね」

「俺…今までは女の子が好きだったのに、男の人を好きになったの」

俺もそうだよ。

北山もそうだよね。

好きになった人が、たまたま同じ性別だっただけのこと。

っていうか…。

「男の…人？」

北山の相手は…教師？

「ねぇ…北山の好きな人って、教師なの？」

「…え」

北山の視線が泳ぐ。

「この学校？」

…コクッ。

北山が頷いた。

この高校で俺より男前で年下のイケメン教師は…いないはず。

国語教師の東先生？

あの人は３５歳。

じゃあ、科学教師の三谷先生？

あの人は４１歳。

年じゃないのか？

「北山…顔で選んでる？」

「違うよっ！外見とか年齢じゃないっ」

そっか…。

「相談に乗るから…特徴は？どんな感じ？」

「かっこよくて…いつも、たくさんの女子に囲まれてて、笑顔が可愛くて」

笑顔が可愛い？

今の言葉…東先生に当てはまる。

「告白しないの？」

「…しないよ。だって、俺じゃ勝ち目ないし、男だもん」

「恋愛は自由だって言っただろ。勇気出して、告白してみたらどう？」

「…気まずくなるの、やだ」

「そっか…どうしようかな」

北山の恋愛相談で考えていると。

「先生は…どんな子が好き？」

「え？俺？」

「うん」

どうして、俺の話になるのは分からないけど、答える。

「小さくて、可愛くて、いつも楽しそうに皆と話してて、ご飯を美味しそうに食べる男の子」

「え…先生、男の子が好きなの？」

「ん〜、違うけど。今、好きな子がそんな感じ。笑顔も食べる時の顔も、すごく好き」

「…そう、なんだ」

北山の声が沈んでいく。



あれ？


どうしたんだろう。

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