優しさに包まれて… -北藤-

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物理の講義が始まる…少し前。

中に入ると…周りからの痛い視線。

席に座る。

静まり返った室内。

事の発端は…たいぴのことを知る高校時代の誰か。

同じ大学にいるなんて…そんなこと知るはずもなく。

「おい、あいつだぜ。男娼っての？物好きな奴もいるもんだよな。同じ男をすきになるって、ど

ういう神経してんだろうな」

聞こえるように、紡ぎ出される言葉という名の暴力。

男娼って何。

誰でもいいわけじゃない。

どういう神経も何も…好きでこんな風になったわけじゃない。

男性にしか興味がない。


どうして、心の中だけで思ってくれないの？

どうして…わざわざ言葉にするの？

聞こえるように言うの？

たいぴが誰を好きになろうと、関係ないでしょ。


「好きになられた相手も迷惑だよな」


ｽﾞｷｯ。


あの日と同じ痛み。

耳を塞いで、心を閉じろ。

心臓が壊れる前に、意識を違う方に…。

「なんでよりによって男を好きになるんだかｗｗそばにいるだけで気持ち悪いし、引くわ〜」

言われる言葉もイントネーションも同じ。


ｽﾞｷｽﾞｷ。


痛みが、じわじわと沁みてくる。

胸に手を当てて…少しでも痛みを和らげる。

「俺も狙われてるかも〜」



狙ってないし。



そんなひどいこと言う人、嫌いだし。

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