LOVE BOX -北藤-

＊ ページ15

〜宏光Ｓｉｄｅ〜

太輔は、昔からあんな感じじゃない。

出会った頃は、お互いに意識して。

手を繋ぐのもドキドキして。

キスなんてもう、心臓が口から出そうだったｗ

なのに、いつからか、俺を束縛するようになった。

好きだから、別に重くもないし嬉しかった。

でも…だんだんエスカレートして、カッターを見せて『死ぬ』と言い出した。

そんなことしなくても、そんなもの見せなくても、俺はお前のとこに帰るのに。

同僚から飲みに誘われても、太輔を気にして断った。

俺を信じて欲しかった。

友達や同僚よりも、一番はお前だよって…どうしたら信じてくれるんだろう。

それを相談したら『証として、指輪あげたら？』と女友達に言われた。

「誕生日でもないのに？」

『プレゼントするのに、理由いる？』

そう言われて、一緒に選んでもらった。

宝石の色をピンクにして、縁取りのところに赤の宝石。

「サイズ…合うかな。多分…俺より少し細い感じで」

「入らなければまた一緒に来店下さい。サイズを合わせますので」

店員さんの言葉に甘えて、作ってもらって、サイズを合わせに来よう。

「小林、ありがとな。付き合ってくれて」

「私も、今度彼氏に強請ってみよ〜」

小林は、俺と藤ヶ谷のことを知る唯一の女友達。

ポケットの中で、指輪の入ったケースを握りしめる。

「今度、お礼する」

「じゃあ、飲みに行こ？２人じゃなくて、会社の同僚と皆で」

「…小林」

「藤ヶ谷くんの独占欲が強いのは分かってる。でも、１０回のうち１回くらいいいじゃない？ちゃん

と分かってくれるよ」

「…そう、かな」

「毎日じゃないんだし、１回だけ。ね？」

確かに…いつも、断るのもしんどい。

「１回だけな」

「やった♪」




そんな軽い気持ちだった。



たった１回…その為に、俺は永遠に失うことになった。

＊→←解放　バッドエンド

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す