LOVE BOX -北藤-

解放　バッドエンド ページ14

ひろに…手紙書こう。

ラグの上に座って、テーブルの上にレターセットを置いた。

たくさん、言わなきゃいけないことがある。

たいぴは…ひろに、苦痛しか与えてない。

愛情を返してない。

こんなんじゃ、ひろが遅く帰ってきたくなるのも仕方ない。

ヒステリックに怒鳴って、気持ちをぶつけて。

こんな淀んで汚れた空気の家に、誰が帰ってきたいと思うだろう。


いつも、怒鳴ってごめん。

いつも、我儘言ってごめん。

カッター見せて脅してごめん。

困らせてごめん。


文字にして思い知る。


どんなに、ひろにひどいことしてきたか。

どんなに、ひろを傷つけていたか。

どれだけ…ひろを縛りつけていたか。


解放…しなきゃ。

俺の呪縛から…解き放って…幸せになってもらわなきゃ。

たいぴじゃダメだから。

ひろに、痛みしか与えないから。

手紙に想いを込めて、テーブルに置いた。

お風呂に、お湯を溜める。

カッターを持ってバスルームに行って…冷たいタイルに座る。

お湯を止めて…手首に、カッターの刃を当てて…目を閉じた。

引き攣った感覚とズキズキした痛み。

こんなもんじゃない。

ひろが受けた傷は。

もっと…もっと傷つけなきゃ。

いつも、死ぬよって口だけだった。

それで、ひろの心を引き止めてた。

そんなことで繋ぎとめた愛なんて…愛じゃない。

引くより刺した方がいいかな？

痛いのは最初だけ。

流れる血を見つめて…バスタブの中に入れた。


ｽﾞｷﾝ、ｽﾞｷﾝ…。


お湯が赤に染まっていく。

「バイバイ、ひろ…」


ひろと一緒にいたかった。

ひろと、おじいちゃんになりたかった。

現世は…ひろを傷つけるだけの自分。

来世は…ひろを笑顔にできる、優しい人に生まれたい。

こうでもしなきゃ…この先も、ひろを苦しめるだけ。


死ぬって…嘘じゃなくて、本当にしなきゃ。

現実にしなきゃ。

「今まで…ごめん、ね……っ…」

意識が遠のいて…目を閉じた。

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