不 幸 少 女 ２【A3!】

79話。 ページ39

・



やはり１月になっても冷えるもので。

寮に入ると久々にあったかく感じた。




「あ、A、おかえりー」


珍しくこんな時間帯から皆が揃っているのは、もう時期この劇団が１周年を迎えるからだろう。

それか、日曜だからっていう理由も存在する。





「ただいま……って、そのノート！！」



彼らの目線の先には、いづみちゃんとの交換ノートが広げられていた。大変だ。



「あー、読ませてもらったよ」


「嘘？！帰宅が遅かった……！！」



まぁ別に読まれて困ることなど書いてはいない。

お世話係の名を背負うだけあって監督の彼女と報告日記みたいなものだから自分のことは書いていないはずだ。




「アンタ、こんなこと思ってたの？」


幸くんの厳しい言葉。
でもいつもよりトゲが少ない。



「思ってるというか、……思ってます」

「全部本心？」


「うーん、真面目に書くの恥ずかしくて誤魔化した部分はあるけど……あっ」



ゲーマー組を見て悟った。

あ、今日、私、恥ずか死ぬなって。





「へぇ……、誤魔化したわけ」

「本心教えてもらってもいいけど？」



「あ、はい、遠慮しておきマス！」



自室へ逃げようとした。
だがそれはできなかった。


彼らの仕業だ。




「みっちり吐いてもらおうかな」

「そッスよ！！
１周年迎えるし！この機に、ね！」



「暴露大会的なですか？！無理です死にます！」



男の子多数VS私。ちょっと待て。いづみちゃんが敵サイドだ。勝てない。




「お前、兵頭とか太一の分は真面目に書いてたくせに」

「彼らは勉強教えてくださいって、慕ってくれてるから！」


「あっそ。じゃあ勉強教えろ」



「万里くん天才じゃん！」



帰ってきて早々にこんなことある？

私は疲れている。ちょっとだけ。
だから…………。




「お前、“筋肉の人”ってどういうことだ……？もっとあるだろ言え」

「丞さん……？！」


嘘だろ。
いつもは外野の彼までもが敵だ。

観念しろと言うのか。





やがて臣くんに「A」と優しく言われてしまったので、観念して白旗を上げた。

めでたしめでたし。



……いや、全然めでたくない。




＿＿＿＿

おまけ。




「監督のところに、

『男勝りで、かわいくて、
カレーに変する恋する女の子』

って書かれてるんすけど、絶対わざとっすよね？」



「シャーペンで書かれてるのに消さないって絶対クロだね」




「Aちゃん？」

「ごめんなさい！！」

80話。→←78話。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す