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*prologue* ページ1



「おはようございます。」


潮の匂いと、食欲を刺激する香りで目が覚めた。
病室に入ってきた看護師が窓を開ける。
暖かい風が入ってきた、今は7月らしいから当然だろう。

しかしそれでも今年は例年よりずっと熱いらしく、
昨日の夕方もニュースキャスターがその異常気象について騒いでいた。

今更だがここは病院だ。
都会とは少しずれたところにある海の近いところで、俺はそこに入院している。

交通事故だと、そう知らされている。
医者と、見舞いに来た知り合いらしい男がそういった。
男の顔はどこかで見たことがあると思った。

どうやら一時的に記憶が混乱しているらしく名前は思いだせなかったが、
そいつは余裕そうな顔で「まあ、そのうち思い出せますよ。」なんて言っていた。
桃色の髪は明るい色だったが、派手さは感じなくむしろ落ち着いているようでよく似合っていたのが印象に残った。


「それでは、また来ますね。」


食事を食べ終われば昼過ぎの検査まですることはもうほとんどなく、
あるとしたら院内の図書室で本を読むことくらいだ。

まあ、検査の後に暇をすることはないだろう。
それまでの辛抱だ。

松葉杖をついている俺の足は、
__どちらかというと足は動かないのだから、俺の腕といったほうが正しい。___
自然と図書室に向かうのだった。

壱話→



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作者名:躑躅 x他1人 | 作成日時:2016年12月5日 1時

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