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乱れたシャツを整え、黒い外套を羽織る。
仕上げに髪を少し整えた。
顔色は何時もの比じゃないくらい白い。病的だ。

『治君の前には出たくないな…』

思わず呟いてしまった言葉に墓穴を掘り肺がグッと潰れるかと錯覚する程の痛みが襲う。
いたい…凄くいたい…。こんなに痛い思いなんて幼少期以来だ。
何だっけ、毒の耐性の為だとかで首領に微量の毒素を与え続けられた時以来だ。
あの時の事は許さん。


「津島さん、失礼しますね…って、なっ何やっ」


部屋に入ってきた部下の1人が身支度を整える私を見てあんぐりと口を開けた。

『ああ…ようやく来たんですね。そろそろ時間かなぁと思ってました』

「いや、何呑気に話してるんですか!?今の状況わかって…」


大声を出そうとする部下の口に手を添えシー、と人差し指を口に当てる。


『内通者が居る。私がいなくなったとバレたら面倒なので静かに…いいね?』

内通者に驚いたもののコクコクと頷く部下に笑みを深めた。
よーしよし、いい子だ。


『これから出掛ける、護衛は結構。
この事は幹部にも内密にしなさい。私は、未だこの部屋で目が覚めず寝込んでいる…分かった?』

「い、いいんですね…?俺、頸斬られませんよね…」

物理で、と複製音が聞こえる部下の声に私が何とかするし大丈夫と頷いた。

「し、信じますよ…!中原幹部すっげぇ荒れてて怖いんですからね…!!」


あちゃあ、やっぱり荒れたか…と呆れる。
部下を余計に怖がらせちゃダメでしょうが。


そのまま「異常なし…異常なし」とブツブツと呟きながら退出した部下が居なくなったところで少ししゃがむ。

気を張っていれば何とか話す事は出来るものの治君に対する話し方は出来ないな…多分死ぬ。


息を整えて、金庫の暗証番号を入力して中からアタッシュケースを取り出す。
うっっっわ、重…。
流石1億ドルの重さ…。これで足りるかなぁ…心配である。

これプラス、A幹部から毟りとった宝石等で交渉が成立すると良いんだけど…。



A幹部も、首領さえ知り得ない外へ繋がる隠し通路から私はアタッシュケースを引き摺り歩き出した。

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(プロフ) - 更新されるの楽しみに待っています! (2021年6月11日 12時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
琥珀恋歌(プロフ) - ずーっと繰り返して読んでいます!とても面白いです!もう更新はされないのでしょうか?更新されることを願っています! (2021年4月18日 0時) (レス) id: 7cd883aad7 (このIDを非表示/違反報告)
黒翔(プロフ) - これまでの夢小説とは一味違っていてとても面白いです。もう更新はされないのでしょうか? (2020年3月25日 9時) (レス) id: cd3e9475c4 (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 螺旋さん» 楽しんでもらえて嬉しいです〜(^^)布教も兼ねての作品なのでこういう作品が増えてくれると最高です推し最強説よ流れろ〜〜 (2019年10月19日 15時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 読んでてめっさ楽しいです!!自分も夢主と似たような感じなので(笑)こういう夢小説が少ないので嬉しいです!増えろぉぉお!! (2019年10月9日 23時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年10月5日 12時

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